検察が21日、「李明博(イ・ミョンバク)大統領府」の秋富吉(チュ・ブギル)前広報企画秘書官(昨年2〜6月在任)を逮捕し、捜査に着手した。検察は、秋氏が退任3ヵ月後の9月、朴淵次(パク・ヨンチャ)泰光(テグァン)実業会長(拘束起訴)から、税務調査もみ消しの請託を受け、その見返りに1億〜2億ウォンを受け取った容疑をつかんでいる。「大運河の伝道師」とも呼ばれた李政権の創業功臣が逮捕されるのを目のあたりにして、「果たして秋氏だけか」と憂慮する国民は少なくないだろう。公共機関はもとより、政府の影響が及ぶ民間企業にまで、特定人脈の人々が入り込んでいるといううわさがあちこちから聞こえており、なおさらそう思わざるを得ない。
韓相律(ハン・サンリュル)前国税庁長は、人事を控えた昨年クリスマスの前日、慶州(キョンジュ)で、浦項(ポハン)地域の有力者たちとゴルフをし、彼らの一部と大邱(テグ)で夕食会を開いた。巷では、大邱・慶北(キョンボク)を超えて「浦項」につながる人事偏重論まで出ている。昨年6月、与党ハンナラ党の鄭斗彦(チョン・ドゥオン)議員の「権力私有化」発言で、攻撃の対象になった「政権実力者」たちについても、巷に流れている話は少なくない。
公職人事が、システムではなく特定ラインの中心で戦利品を奪うかのように行なわれるなら、必然的に腐敗は伴う。当事者たちは、巷に出回っているうわさはまったく根拠がないと反論するが、権力の日が沈めば、最後には赤裸々な内情が明るみになる。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が終わった後に明るみになった権力周辺の腐敗・不正事件が、これを実証する。
口を開けば、道徳性を独り占めしているかのように大口をたたいていた盧武鉉政権の実力者たちが、何人も検察の調査を受けている。野党民主党の李光宰(イ・グァンジェ)、徐甲源(ソ・ガプウォン)議員、安熙正(アン・ヒジョン)最高委員は、巨額の不法資金を受け取った容疑を受けている。朴淵次会長と盧前大統領の実兄・建平(コンピョン)氏は、不正の終りがどこかも分からない。建坪氏は、農協の世宗(セジョン)証券引受に介入し、29億6300万ウォンのロビー資金を受け取った。05年の4・30補欠選挙で、5億ウォンの不法選挙資金を仲介した不正が次々に明らかになっている。
腐ったリンゴ1つが、箱の中のすべてのリンゴを腐敗させる。緊張して周囲を引き締めなければ、今、審判台に上がった前政権の実力者たちの繰り返しになる恐れがある。ただちに、権力インナーサークルの介入を思い切って遮断しなければ、腐敗を断ち切ることはできず、国民の信頼を失うだろう。