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[オピニオン]基軸通貨の競争時代

Posted March. 26, 2009 10:52,   

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1971年8月15日、リチャード・ニクソン米大統領は、世界を揺るがす緊急宣言を行った。ドルの価値を守り、貿易赤字を減らすため、金とドルとの交換を中止し、米国に入る輸入品には10%の課徴金を課すという内容だった。「ニクソン・ショック」は、ドルだけが金と交換できる通貨とし、各国通貨間の為替相場を固定させた金・ドル本位制のブレトン・ウッズ体制を崩壊させた。しかし、ドルは米国の国力を基に、その後も貿易や金融取引の決済に幅広く使われる基軸通貨のトップの座を堅く守ってきた。

◆周小川中国人民銀行頭取は最近、「ドルの価値が不安定になれば、保有国や発券国共によくない」とし、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を世界共用の「スーパー通貨」へと格上げさせることを提案した。同氏は、来月2日に英ロンドンで開かれる金融サミット(G20)の首脳会議で「新しい基軸通貨」の導入を提案するものとみられる。中国の国際通貨体系の改革への要求は、公式的な名分と共に、世界的な金融危機以来、信頼が落ちたドルの代わり、人民元を基軸通貨として引き上げ、世界経済での影響力を増大させるという野心も見え隠れしている。

◆現在、多くの国々の外貨保有高が、ドルで満たされている中、ドルに代わる新しい基軸通貨が、直ちに登場する可能性は高くない。だが、ドルがかつてのように強力な威力を引き続き発揮することも難しい。米カリフォルニア大学のベリー・アイカングラン教授は、「ドルから離脱しても、ユーロという次善の策がある」と述べ、「ドルが、基軸通貨の地位を直ちに失うことはなくても、独占的な地位は失うことになるだろう」と断言した。中国による人民元の浮上努力と共に、欧州連合(EU)や日本もユーロや円の存在感の強化に神経を尖らせている。ロシアやインド、ブラジル、豪州も同様に新たな通貨秩序の必要性を感じている。

◆危機は新たな秩序を作り出す。国際通貨体制も同様だった。第2次世界大戦では、固定相場制であるブレトン・ウッズ体制を誕生させた。「ニクソン・ショック」は、過渡期的なスミソニアン体制を経て、変動相場制を柱とするキングストン体制へと変化した。今回の世界的な金融危機も同様にいかなる形であれ、変化をもたらすことになるだろう。韓国も「基軸通貨の競争時代」に賢明に対応し、国益を最大化する問題に関心を持つべき時期に来ている。

權純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com