膨大な外貨準備高で最近、国際社会での存在感が高まっている中国に対し、米研究機関「米国進歩センター(CAP)」は、「輸出と為替両方を手にしようとする中国の政策が、両方共台無しにしている」と指摘した。
米国進歩センターの報告書によると、中国は2兆ドルに上る外貨準備高のうち70%の1兆4000億ドルを、米国の金融資産で保有している。昨年9月、日本を抜き中国は、米国の最大債権国へと躍り出た。
しかし進歩センターは、「中国政府が為替に介入し、米国との輸出において圧倒的な黒字を出し、その資金を米国債に投資するジレンマに陥っている」と指摘した。
同報告書は、中国が貿易収支黒字を使う方法は、中国内銀行に預ける方法、ドル以外の外国通貨を買い付ける方法、米国に投資するという3つの方法しかないと説明した。しかし、低金利やインフレになってまで、中国銀行に預けておくことは愚かなことであり、外国通貨を買い付け人民元が元高になれば、中国輸出が減ることは目に見えている。
今年1月、ガイトナー米財務長官が、「中国政府による為替相場操作説」を提起すると、温家宝中国首相は急に興奮し、「米国債を引き続き購入するかどうかは、投資価値を考慮して決定する」と言い放った。しかし、中国政府も二兎をつかむためには、米国に投資するほか、これといった投資先がないというジレンマに陥っている。
特に中国が、米国債にほとんどの投資が集中していることも、リスクを高める要因の一つだという指摘である。00年以降中国政府は、ファニーメイのような米政府が国有化したモーゲージ会社に4740億ドル、米国債に4390億ドルを投資した。米国の株や会社債には5%程度投資しており、偏重が激しいと、同報告書は指摘した。もし、中国が米国債を大量に市場に出すことになれば、さらにドル安が進み、中国の損失も増大することになる。
同報告書は、「国際社会で、強く主張できるため、中国政府は政治論理でドルを握っている」と批判した。
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