盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領は30日夜遅くまで、最高検察庁中央捜査部の特別調査室で、検事2人から包括的賄賂容疑に対する取り調べを受けた。盧前大統領は同日午前、烽下(ボンハ)村を出発する直前や、最高検察庁庁舍に到着して取材陣に対して言葉少なに語ったのとは違い、積極的に検事の取り調べに応じたという。今や、関心は検察がどのような決断を下すかに傾いている。
盧前大統領は、烽下村を出発するにあたって、重い表情で取材陣の前に立った。「国民のみなさんに面目ない。失望させて申し訳ない。行ってきます」と簡単に述べ、警護バスに乗り込んだ。道に並んで立っていたノサモ(盧武鉉を愛する人たちの会)会員が、「盧武鉉、盧武鉉」と連呼し、黄色いバラの花びらをまいたが、盧前大統領は依然として沈うつな表情だった。最高検察庁庁舍に到着しても、数百人の取材陣の前で、「面目ない」と言っただけで、そのほかの質問には答えなかった。
前大統領の「崩れた姿」をテレビで見守った国民の心は複雑だっただろう。権力の座から退いて約1年で被疑者として検察に出頭した盧前大統領の複雑な心境も察するに余りある。大統領経験者が、不正容疑で検察の取り調べを受けることがいつまで繰り返されるか、もどかしいだけだ。大統領経験者が検察の取り調べを受けるのは、95年に数千億ウォン代の不正資金を蓄財した容疑で拘束された全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領に続き3人目だ。
盧前大統領は、大統領府の建物内で受け取った100万ドル、姪の夫の口座に送金された500万ドル、鄭相文(チョン・サンムン)元大統領総務秘書官が横領した大統領府特別活動費12億5000万ウォンについて、在任当時、大統領秘書室長だった文在寅(ムン・ジェイン)弁護士も同席し、取り調べに応じた。検察関係者は、盧前大統領が黙秘権を行使せず、自分の主張を積極的に述べていると伝えた。検察は拘束・収監中の泰光(テグァン)実業会長の朴淵次(パク・ヨンチャ)被告や鄭元総務秘書官の供述と食い違う場合、両者とつき合わせて取り調べを行なったという。
もはや検察は、盧前大統領に対する容疑の事実を確定し、法的決断を下す時を迎えた。これと関連して、対外信認度を考慮して拘束は避けるべきだとか、非拘束起訴で裁判所の判断を仰ぐのが妥当だといったこれまでの論議が起こった。さらに「生計型犯罪」にすぎないだとか、起訴せずにきれいに忘れようという主張もあった。しかし、検察の法的決定が、感傷的な論議や政界の政治的論理、政派的主張に左右されてはならない。決定は、検察の政治的独立と中立性に則って、ただ取り調べの結果と法的判断にのみ従わなければならない。