グローバル景気低迷の影響で、世界2000大企業中金融を除いた1243社の業績が、昨年第4四半期(10〜12月)を境目に悪化した。その直前まで8〜9%を維持した売上の伸び率は、平均マイナス0.6%へと墜落した。今年も全般的に振るわない見通しだ。ところが、そのうち44の韓国企業の売上の伸び率は、07年の13.2%から昨年は24.3%へと高まった。このような業績の好転ぶりを根拠に、国内景気の回復が早まるだろうという予測が出ている。
しかし、年平均の対ドルウォン相場が1年間で18.5%もウォン安ドル高が進んだのおかげで輸出が増加した「為替相場の効果」を見過ごしてはならない。LG経済研究院の調査結果、グローバル企業の昨年の売上の伸び率は、自国の為替相場基準では韓国と米国、欧州、日本の順と高かったが、ドル基準ではその逆である。そのうち、韓国企業のドル基準の売上の伸び率は、07年の16.4%から昨年は5.1へと急落した。
このように、ウォン安ドル高の効果がもたらした錯視現象が大きいのに、我が企業の競争力が高まった結果だと自慢しては困る。いまやその為替効果も減りつつある。8日の為替相場は1ドル=1247ウォンで取引を終え、昨年10月15日以後はじめて1250ウォン台を下回った。遠くないうちに、1100ウォン台へと進入するだろうという見通しも出ている。各輸出企業は、ウォン安ドル高時代に享受した価格競争力を維持するのは難しくなるだろう。為替相場が1ドル=1200ウォン台に達すれば、三星(サムスン)電子の今年の営業利益は半分にまで減りかねないという推定報告書もある。
国際通貨基金(IMF)は、韓国は今年、先進33ヵ国中8位の208億ドルの経常収支の黒字を記録し、14年までは毎年200億ドル以上の黒字を出すものという予測を、昨日発表した。このような楽観論は、今後輸入が増え、輸出はさらに増えて黒字基調が定着してこそ成り立つことができる。最近、貿易黒字は輸入が輸出よりさらに激減したことによる縮小型であり、大変憂慮せざるを得ない。今年の輸出の場合、取扱量は概ね維持したものの、単価は下落した。商品の競争力があってこそ、ウォン高ドル安に合わせて、単価を値上げすることができる。
南饁(ナム・ヨン)LG電子副会長はすでに3月、「為替効果は年内に消えるだろう」と警告したことがある。三星モバイル・ディスプレーの姜皓文(カン・ホムン)社長は8日、社内放送を通じて、「為替効果に引き続き頼りづらいのが現状であり、自分だけの個性を盛り込んだ創造的な戦略を持って勝負しなければならない」と強調した。同日、国策や民間経済研究所の代表らは、ウォン高ドル安に対する政府の対応を促した。為替対策だけでは競争力の維持に限界のあることを、政府や企業は共にしっかり認識すべきである。