労組がない経営で有名な三星(サムスン)グループが、来年1月1日から実施される可能性の高い、「複数労組の許容」を巡る対策に乗り出した。複数労組の許容を巡り、三星や現代起亜(ヒョンデ・キア)自動車、LGなど、主要グループ企業の利害が食い違い、同問題は今年、経済界の懸案として、浮上するものと見られる。
三星グループのある役員は11日、「最近、グループや系列会社、全ての役員を対象に行った1泊2日間の不況克服のための研修で、複数労組の問題が初めて正式に取り上げられた」とし、「複数労組が認められた後、展開される状況への備えが必要だということが強調された」と話した。同役員は、「三星の基本方針は、労組なしの原則を守ることだ」と付け加えた。
複数労組を巡る問題は、三星だけのことではない。LGグループも、「相生の労経関係を発展させてきたが、複数労組の許容はこのような雰囲気に水を差しかねない」と懸念を示した。中核的系列会社であるLG電子のある幹部社員は、「(複数労組が認められ)、従来の生産職労組のみならず、事務職や研究職労組までできることになったら、会社としては受け入れがたいだろう」と懸念した。
三星やLGとは異なり、強硬な労組問題のため、苦しんできた現代起亜グループは、「複数労組の許容は、これ以上先送りしてはならない」と主張した。現代自動車の尹汝迵(ユン・ヨチョル)副会長は最近、「複数労組の許容や労組専従者への賃金支払い禁止などは、先進的な労使関係のため、原則や法に則って、来年から必ず実施すべきだ」と公に何度も明らかにしている。従来、労組の強硬路線に反対する勢力が、労組を設立することになった場合、会社として都合の悪いことはないためだ。
1997年、労働法の改正案に明文化された複数労組の許容は、労使政の合意に基づき、3回も実施時期が先送りされた。06年の3度目の猶予では、「10年1月1日の実施」と再度合意が成された。
韓国経営者総協会は最近、複数労組問題について、△労組組織の強化のため、過度な要求に原則的に対応し、△労組への加入や脱退は労働者の自由な意思によって決める「オープンショップ制」を守る内容の経営界の指針を確定し、主要企業の労務担当役員を対象に説明を行った。
bookum90@donga.com smhong@donga.com