政府が2日打ち出した投資促進策は、規制緩和で企業の投資計画を早々に誘導し、研究開発(R&D)への投資を促進、成長潜在力を高めるという内容だ。これに向け、税制、財政支援、規制緩和の3大政策を総動員させた。昨年、2度にわたり発表された企業環境改善対策より、一歩前進したという評価が出ているのもこのためだ。
世界的な経済危機により、投資の委縮がさらに深まるにつれ、韓国経済の成長動力を失いかねないという危機意識がその背景にある。下半期には財政が底をつき、政府が上半期のように「実弾」を使えない状況であるだけに、企業の投資を景気回復の新しい動力にするという意識も働いている。
尹増鉉(ユン・ズンヒョン)企画財政部長官は、同日、ブリーフィングで、「いつまでも財政の力で景気低迷を阻止し、雇用不安を解消するわけにはいかない。今は企業が『バトン』を受け継ぐ時期に来ている」と強調したのもそのためだ。
●減税
今回の対策の中核は、R&D投資の税額控除を大幅に増やすことだ。R&Dに対する投資が先行されてこそ、未来の韓国経済をけん引していく成長エンジンを確保できるからだ。特に、中核的な源泉技術に対するR&D税額控除比率は、「投資額の3〜6%(中小企業は25%)」から来年は25%(中小企業は35%)へ4〜8倍拡大される。1兆ウォンを投資した場合、2500億〜3500億ウォンが税額控除という形で払い戻されるわけだ。
発光ダイオード(LED)応用技術やグリーン輸送システム、新再生エネルギーなど、政府が指定した17の新成長動力に対するR&D税額控除比率も3〜6%から20%(中小企業は30%)へ拡大される。財政部は、このような税制支援を来年から12年までと期限付きで行った後、12年に延長するかどうかを決定する予定だ。
今年末を目途に終了予定だった△R&D設備投資税額控除△R&D関連出資金など課税特例△企業の付設研究所用の不動産に対する地方税免除△中小企業に対する投資税額控除なども、12年まで一括延長することにした。当初、様々な非課税・減免制度を大幅に整備する予定だったが、投資と関連した特典だけは維持することを決めた。
●資金支援
政府をはじめ、産業銀行(産銀)、企業銀行(企銀)、国民年金などが共同で資金を集め、5兆ウォン規模の設備投資ファンドを造成することも目を引く。設備投資ファンドが投資する企業に、産銀と企銀が5兆ウォンをセットで追加に貸し出す予定なので、計10兆ウォンの投資資金が調達されるわけだ。政府は、ファンドの規模を早ければ来年までに20兆ウォンへ拡大し、セット貸出しも20兆ウォンに増やし、計40兆ウォンの投資財源を用意する方針だ。
直接的な財政投資も拡大される。今年、12兆3000億ウォン水準のR&D予算を13年、18兆4000億ウォンへ増やし、年平均10.5%ずつ増額する計画だ。民間の自発的なR&D投資を引き出すため、政府が設定した科学技術関連目標を達成した企業を対象にしたR&D事後補償制も、来年から実施される。
●規制緩和
これまで経済団体が、緩和してくれるよう要請してきた様々な規制に対しても、企業が望む方向へ改善が行われる。このため、石炭をガスへ切り替える合成天然ガスプラント、「都市鉱山」と呼ばれる廃金属資源再活用業など、10部門の事業で投資の足かせになっていた規制を同時に緩和していくことにした。その中には、ハイニックス半導体の投資拡大の足かせだった上水源近隣地域の様々な立地規制を「事前制限」する方式から「総量制と排出規制」へ緩和する内容も盛り込まれている。
これと共に、李明博(イ・ミョンバク)大統領の公約である財界の宿願であるポイズン・ピル(Poison Pill)を法制化する作業も進められる。ポイズン・ピルは、敵対的な合併買収(M&A)が試みられた際、既存の株主らに安価で新株を買収できる特別な権利を与え、相手が買収を諦めるようにする経営権防御の手段である。
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