Go to contents

[オピニオン]ビル・ゲイツ氏とハリケーン

[オピニオン]ビル・ゲイツ氏とハリケーン

Posted July. 17, 2009 07:37,   

한국어

権力者の起源は、天文を読み解き、天気を予測する能力のある人だったことは偶然ではない。昔は、天気が人間の命を左右する最大の要因だった。人間は常に天気をコントロールしようと努力した。中世には大砲や教会の鐘を使って、雨を降らせようとする試みもある。雷が鳴れば雨が降ったため、轟音を引き起こせば雨が降るだろうと思ったのである。このような人間の努力は人工降雨を成功させ、ある程度は実りをもたらしている。

◆技術発展の未来を予測するのは難しいといわれるが、ハリケーンをコントロールするという発想は新鮮なあまり、無謀にも聞こえる。しかし、それを試みる人が、ほかならぬ「コンピューターの皇帝」ことビル・ゲイツ氏なら話は違う。マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が毎年、米南東部を襲うハリケーンを手なずけることに挑戦した。氏は、マイクロソフトの最高経営責任者を務めたネイサン・ミアボルト氏が設立した発明開発会社「インテレクチャル」ベンチャー傘下の「シアレット」の名前で、特許庁にハリケーン統制技術に関する特許申請を出した。

◆ハリケーンへと発達する熱帯暴風雨は、海面の温度が27度以上の海域で加熱された空気が、海から水蒸気の供給を受けて上昇し、低気圧を形成して発生する。上昇気流に流れ込んだ水蒸気は、空気中で水に変化する凝縮過程を経て、動力を得る。ゲイツ氏の仲間たちは、特殊製作した海水混合装置を使って、深海の水を引き上げ、海面温度を下げる方法を提案した。海面の温度を下げ、ハリケーンへのエネルギー供給源を断ち切る技術である。

◆ハリケーンを統制するという発想はゲイツ氏が初めてではない。1960年代から1980年代にかけて、米国立海洋大気庁(NOAA)は、「ストームファリー(STORMFURY)」プロジェクトを推進した。ヨウ化銀とドライアイスを雲に撒き、暴風の強度を弱まらせる計画だったが、失敗に終わった。ある科学者らは、水素爆弾でハリケーンを爆発させ、暴風を大陸の外に押し出す案も示している。目には見えないが、海にも道、すなわち海流がある。ゲイツ氏の発想は、このような海洋システムを揺るがすことになるだろうと、気象学者らは主張している。しかしだ。ひょっとすると、情報通信(IT)革命の新しい道を切り開いたゲイツ氏なのだから、自然にも新しい道を切り開くことになるかもしれないことだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com