「インタビューの前に、私が飛行機に乗っていた14時間に何があったのかをチェックしなければなりません」
今年の万海(マンヘ)平和賞受賞のためにアジア記者協会の招請で8日に韓国を訪れたイスラム女性初のノーベル平和賞受賞者であり、イランの人権・女性活動家のシリン・エバディ弁護士(62、写真)。エバディ氏が、ホテルに到着するやいなや求めたのはコンピューターだった。インターネットで素早くイラン現地のムードを確認するエバディ氏の顔には、緊張感がうかがえた。6月12日の大統領選挙不正疑惑で、依然としてイラン政局が不安定な状態だからだ。
「大統領選挙の結果に抗議する人々が街頭に出てデモをしているが、1日目には約100万人もの人々が街頭で抗議しました。政府が攻撃を始め、多くの人々が死に、負傷し、報道関係者や弁護士、教授が逮捕されました」
6月12日の大統領選挙以降、イランのデモ事態で逮捕された人は約2000人にのぼり、このうち約250人は依然として拘禁状態であり、政府の強硬鎮圧による死亡者は約30人に達すると把握されている。
エバディ氏は、「政治的な地位はないが、政府の暴力鎮圧には反対する」と述べ、政府に向けて苦言を呈した。「暴力がなくなり、選挙後に逮捕されたすべての人々が釈放されなければならない。また、犠牲者の家族に補償が与えられ、国連の監督の下で選挙が再度行なわれてこそ、イランがまた安定を取り戻すことができるだろう」。
しかし、エバディ氏は、最近のイラン情勢や、スーダンでスキニーズボンをはいた女性が、「淫らな服装」という理由で警察に逮捕されるなどのイスラム圏の現実が、「イスラム」宗教や文化の問題と誤解されてはならないと線を引いた。
「むろん遺憾な事件だが、それがイスラムのすべてではない。同じイスラム政府でも、女性の首相が誕生した国があるほど、イスラムも多彩な解釈を持っており、十分に人権と調和する方向に進むことができる。ただ、非民主的な政府が人権を抑圧する政策に『イスラム』という言葉を濫用することが問題だ」
エバディ氏は、イラン初の女性裁判官で、70年代に裁判官の地位から強制的に退職させられた後、人権運動を展開した。03年に、人権、児童、女性運動に献身した功労が認められ、イスラム圏の女性初のノーベル平和賞を受賞した後も、生命の脅威を感じてきたエバディ氏は、最近のイランのデモと関連しても仲間3人が拘束され、夫が尋問を受けたと伝えた。
来韓2日目の9日午前、清渓川(チョンゲチョン)を見学した後、鄭鎮奭(チョン・ジンソク)枢機卿に会い、午後1時30分、キョンドン教会で宗教間の対話などをテーマに講演した。また、同日午後には、ソウル江南区三成洞(カンナムク・サムソンドン)の奉恩寺を訪れ、ミョンジン住職と歓談した。
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