申智愛(シン・ジエ、21=ミレアセット)は、さすが「逆転の名手」だった。14日、米アーカンソー州になるピナクルCCで開催された、米国女子ツアー第20戦「P&GビューティNWアーカンソークラシック」。首位に7打も出遅れた24位タイで最終3ラウンドを回り始めた申智愛は、ノーボギーで7つのバーディーを奪い、通算9アンダー204打を記録後、延長の接戦の末、劇的な逆転ドラマを繰り広げた。
●31年ぶりの大記録に向け
申智愛は、多勝、賞金、今年の選手、新人賞のランキングでいずれも首位に立った。シーズン3勝目を獲得し、ロレーナ・オチョア(2勝=メキシコ)を抜いた。シーズン賞金149万ドルで、クリスティ・カー(137万ドル=米国)を引き離した。今年の選手のポイントでも127点で、カー(114点)を抜き首位に上がった。独走体制をキープしている新人賞ポイントは、1269点でミシェル・ウィー(684点)との差をさらに広げた。
LPGAツアーで、デビュー初年度に4冠を達成したのは、1978年、ナンシイ・ロベス(米国)が唯一。アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、朴セリも果たせなかった大記録を31年ぶりに申智愛が狙っている。申智愛は、「機会が私のところにやってきたのだから、残り試合も少ないし、頑張りたい」と語った。
●延長の接戦の末、逆転のドラマ
申智愛は先に試合を終え、2時間以上待機した。「腹ごしらえをしました。延長戦の可能性があるので、消化しやすいスープと芋の料理を食べ、練習をしました」。申智愛は、長打者の柳先暎(ユ・ソンヨン)とアンジェラ・スタンフォード(米国)との延長戦に負担を感じた。柳先暎は平均ドライバー飛距離が256.8ヤード(34位)、スタンフォードは263.5ヤード(11位)であることに対し、申智愛は248ヤードで91位に過ぎない。
18番ホール(パー5)で進められた最初の延長戦で、申智愛は精巧なショートゲームでバーディーを奪った。柳先暎とスタンフォードもバーディーを取った。15番ホール(パー3)に移動した2番目の延長で申智愛は、7番アイアンで打ったティーショットをホールの4メートルのところに落とした後、バーディーを奪い勝負を決定付けた。
●世界が認めたファイナル・クイーン
申智愛は、国内大会の19勝のうち、8勝が逆転勝ちだった。07年クラウンCCオープンで、7打差の劣勢を覆したことがある。こうした面貌は今季、LPGAツアーに本格進出してからも変わらなかった。3月、HSBCチャンピオンズで初勝利を手にした時は、6打出遅れたスタートだったが、優勝トロフィーを獲得した。
申智愛は、「優勝経験が重なり、試合の流れを有利に持っていこうと努力する」と語った。申智愛の座右の銘は、「失敗を信じない」。そのためか、申智愛はどのような危機の場面でもめったに動揺しない。「女子ホワイト・シャーク」カリー・ウェブ(オーストラリア)は、昨年、ADTチャンピオンシップの決勝で申智愛に敗れた後、「申智愛はどんな場合にも緊張しなかった。笑みまで浮かべていることを見て、ドン引きした」と舌を巻いた。
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