60年前は違っていた。1949年10月1日、新中国が建国した時、中国は歴史上一番見るに堪えない境遇に立たされていた。建国が宣布される瞬間でも、内戦の銃声は止まなかった。100年にわたる外勢の侵略や内戦で、国土は廃墟と化していた。5億4200万人の人民は貧困に苦しみ、インフレーションと失業率はひどいものだった。
当時、毛沢東国家主席は、「困難な状況には克服方法があり、希望がある(有困難、有辧法、有希望)」と力説した。彼の言葉通り、中国は60年間、数々の苦境を乗り越え、世界の主役に浮上した。
●周辺から中核へ
新中国は建国翌日、共産主義の「兄貴」、ソ連と国交を結んだ。毛首席は初の訪問国としてソ連を選んだが、この訪問で若干の借款を取り付けることに止まった。韓国戦争と冷戦で、中国は孤独だった。当時の周恩来中国首相兼外交部長は1960年代、3ヵ月間、アフリカ10カ国を歴訪するなど、非同盟国で活路を見い出した。
1971年10月25日、社会主義の中国の国連加盟が承認され、台湾は退出した。1950年、初めて国連加盟を試み始めて以来、21年間、中国は何と20回あまりにわたり、国連加盟に挑戦した。当時、馬首席は、「長い間、国連に加盟できなかったのは、米国と日本のせいであり、今、加盟できたのはアフリカの兄弟のおかげだ」と語った。
以後1972年、中日国交正常化、1979年中米国交正常化により、中国は「竹のカーテン」を取り除いた。特に1978年、改革解放以来、輝かしく成長した経済力と市場を基に、中国の勢力は日増しに増大する。また、大規模な対外援助で、アフリカと中南米諸国に莫大な影響力を保持している。中国は開発途上国の代弁者として、今年4月、第2回主要20カ国(G20)首脳会議、最近、第3回G20首脳会議で最貧国への支援を声高に訴えた。中国と国交を結んだ国は、建国直後10カ国から現在171カ国へ増えた。というのは、台湾と国交を結んだ国は、その分減ったということだ。
国連での役割も大きくなった。現在、中国は2100人の平和維持軍を12カ国に派遣している。米国タイム紙は、この数が国連安全保障理事会所属のどの国より多く、中国の国連への貢献度は、強国の中で一番大きいと最新号で評価した。
●北京コンセンサスVSワシントンコンセンサス
特に、金融危機に見舞われた昨年末以後、中国の地位の変化は非常にドラマチックだ。今年3月、世界銀行(WB)のロバート・ゼーリック総裁は、世界経済回復に主要2カ国(米国、中国)が重要だという意味で、G2という言葉を使った。この言葉は、本来の意図よりはるかに拡大され、使用されている。世界唯一の超強国の米国と肩を並べられる中国という象徴性が含まれている。
また、数年前に登場した新造語、「チャイメリカ(チャイナ+アメリカ)」からも分かるように、もう中国が米国と一緒に地球村を営むのは否めない事実になった。
中国流の経済発展モデルを指す「北京コンセンサス」も最近、注目を受けている。ゴードン・ブラウン英国首相は、第2回G20首脳会議で、「古いワシントンコンセンサスの時代は、もう過ぎた」と述べ、注目された。
米国流の経済発展モデルのワシントンコンセンサスに根本的な疑問を投げかけ、北京コンセンサスの株価を最高値に押し上げた一言だった。現在、ベネズエラ、エクアドル、ブルガリア、スーダンなどの左派もしくは独裁国家は、体制維持と経済発展を同時に追及する北京コンセンサスに関心を持っている。
中国官営の新華社通信は最近、「西欧発展模型を機械的、教科書的に踏襲せず、国の実情に合わせ、自ら道を切り開いたのが、中国の今日を作った」と自評した。
●アジア最強の軍事力を目指して
中国の軍事力は現在、世界5位前後と評されている。建国初期、日本軍から奪った兵器で武装した中国人民解放軍は、現在、兵力230万人の世界最大規模の常備軍に成長した。中国の軍事力は、アジアで日本と肩を並べるか僅差でその後を追いかけるレベルだ。
今年、スウェーデンのストックホルム平和研究所(SIPRI)の年次報告書によると、中国は昨年849億ドルを軍事費に支出し、軍事支出で世界2位に浮上した。中国の軍事増強はこの10年間で、2倍(194%)増加し、増加速度が世界軍事大国10強の中で一番速い。米国の6073億ドルの14%ぐらいだが、韓国の242億ドル(11位)の3.5倍に達する軍事費だ。
中国は、米国とロシアに次ぐ世界3大宇宙強国でもある。中国は昨年、3回目の有人宇宙船を打ち上げた。また、世界3番目に宇宙遊泳に成功した。現在、火星探査計画を進めている。最近は、20年をめどに宇宙ステーションを建設すると発表した。
中国自らも自信を示している。梁光烈・中国国防部長は最近、新華社通信とのインタビューで、「宇宙に軍事衛星があり、空に殲—10戦闘機、陸地に最新ミサイルとタンク、海に新鋭の駆逐艦がある」と語った。梁部長はこのような先端兵器は、西欧の最新兵器と対等か、これに非常に近付いている水準だと自評した。
●「責任ある大国」の声が高まる
中国は華やかに復活しているものの、これに対する世界の懸念の声も高まっている。特に、自国の利益のためなら、なりふりかまわない中国政府の姿勢に対する西欧諸国の批判は、厳しい。先進国が二酸化炭素排出の減少に取り組んでいる間、中国は排出量が毎年大幅に増え、06年からは米国を抜いて世界1位になった。エネルギーと資源の確保のため、スーダンなど、人権を抑圧する政府を助けることも辞さない中国政府の態度も、また批判の的になっている。
米アーバイン・カリフォルニア大学経営大学院のピーター・ナバロー教授は昨年、「スーパーパワー中国」という本で中国の暗鬱な側面を分析し、「中国は大国として責任ある姿勢がない」と批判した。
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