20年前の1989年5月28日、全国教職員労働組合(全教組)が結成された。4ヵ月後の同年9月22日は、「真なる教育のための全国保護者会(チャムハク)」が発足した。2つの団体は同じ年に生まれ、民族や民主、人間化教育を「真なる教育」と掲げており、「平等教育」を目指すことも同じである。「真なる教育」という建前の中に入っている民族や民主、人間化、平等というキーワードはもっともらしく聞こえるが、我々の教育現状や教育理念を歪曲させるのに、「罪のない言葉」が動員されてきたという気がする。
◆どのような教育が真なる教育であるかを巡っては、さまざまな見解がありうる。しかし、学校や教育当局、政府の教育方針や政策に一から反対し、拒否するように教えるのは真なる教育ではない。また、大韓民国憲法の最高価値である自由民主主義の基本秩序を害する人間型を作るのも、真なる教育ではない。「チャムハク」は、全教組の反政府路線や北朝鮮寄りの左派という反憲法的な言動を支持し、支援してきたことから、全教組の脇役と言われても仕方がない。
◆「チャムハク」は、全国各地に支部を持っており、メンバーは計5000人あまりだという。同団体は付け届けや不法的な学校への協賛金の撤廃運動、学校給食の改善運動、制服の共同購買運動、学校暴力の追い出し運動などさまざまな活動を展開してきた。たいしたことを行ってきたわけである。しかし憲法第31条に定められている「能力に応じて均等に教育を受ける権利」を無視し、全ての生徒を同じ条件の下で教えるべきだという「平等教育」を主張し、競争教育に反対してきた。「グローバル人材教育」は、「少数のエリートのために多数の犠牲を強いる発想だ」と責め立てた。
◆「チャムハク」はいまや、全教組の常連の闘争メニューだった学力評価テストを巡るテストへの拒否を、一部の青少年団体と共に、直接引き受けると買って出た。今月13〜14日に全国でいっせいに行われる小中高校における学力評価テスト拒否し、集団での体験学習に行く計画だという。昨年まで、自然探求活動に重点を置いたものの、今度は文化芸術祭の形として行われる見通しだ。昨年、学力評価テストを拒否した多くの教師らが、重い処罰を受けたことへの対策として、「チャムハク」が全面に乗り出したのである。保護者団体が児童・生徒らを全教組の道具として提供するのは決して真なる教育ではない。
陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com