中国が、北朝鮮の早期の6者協議復帰の約束を取りつけるのに失敗した。金正日(キム・ジョンイル)総書記は5日、温家宝首相に、「朝米会談の結果を見て、6者協議を含む多国間会談を行なう用意がある」と明らかにした。金総書記は、「朝米関係は、2国間協議を通じて平和的な関係に転換されなければならない」とも話した。6者協議に言及したものの、米朝関係が彼らの思い通りになれば出席するという意味にも読める。中国がこの程度の言及で満足するなら、核問題の解決に向けた6者協議の議長国という地位が色あせる。
中国は、北朝鮮にかなりの経済支援を約束したという。温首相率いる代表団は、「経済援助に関する交換文書」をはじめ、いくつかの協定や合意文に署名した。中国が全額負担することになった鴨緑江(アプロクカン)大橋の建設費だけでも1700億ウォンと推定される。北朝鮮が「おみやげ」を受け取り、中国の体面を立てるために心にもない「6者協議」に言及した可能性が高い。
中国の支援が、北朝鮮に対する国際的制裁の内容を含んだ国連決議第1875号に違反しないのか、綿密に検討しなければならない。第1875号決議には、「すべての加盟国は、北朝鮮住民に直接役立つ人道主義および開発目的や非核化を増進させる用途を除いて、北朝鮮に新たな供与や金融支援、譲歩性借款を提供しないことを求める」という内容が含まれている。中国が、北朝鮮への影響力を維持するために国連が禁止した支援を約束したなら、安保理常任理事国の資格はない。北朝鮮は、中国の態度を見て、国際制裁の戦線に亀裂が生じたと判断し、核開発に自信を持つ恐れがある。
北朝鮮が米国との2国間対話に固執する理由を、中国もよく分かっているだろう。北朝鮮は、米朝が会って、核軍縮と平和協定の締結、在韓米軍撤収問題を話し合う必要があると主張してきた。この主張が受け入れられれば、北朝鮮は核保有国の地位を公認されるわけだ。そして、6者協議が実施されるにしても、米朝会談の脇役に転落してしまうだろう。
北朝鮮の術策に陥らないためには、国際社会が断固として対応しなければならない。米国務省は、中朝会談の結果について、「6者協議が最善の案という点で、(韓米日中ロ)5ヵ国間で意見が一致している」という反応を示した。幸いなことだ。柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官も6日、「北朝鮮の核問題は、6者協議で話し合わなければならない」と繰り返し強調した。10日、北京で韓中日首脳会議が行なわれる。3国の首脳が北朝鮮の非核化に向けた協力で一歩進んだ結果を出すことを期待する。