韓米間の自由貿易協定(FTA)の妥結に暗雲が立ち込めている。
米国の通商問題を仕切る貿易代表部(USTR)のロン・カーク代表(写真)が5日(現地時間)、「オバマ大統領が、韓米FTAの批准を議会に要請する前に、韓国は米国に対して自動車市場の門戸をさらに開放するべきだ」と述べた。カーク代表は同日、韓米財界会議の主催で、ワシントンの商工会議所で開かれた晩餐会で演説し、「米国市場は韓国の自動車業界に開かれている」と言い、「我々が要求しているのは、米国の自動車メーカーが韓国市場でも同じような競争ができるようにしてほしいということだ」と話した。
韓国政府は18日に予定されたオバマ大統領の訪韓を控え、韓米FTA問題で進展があることを内心期待しているが、米国の反応はむしろ冷めている。
カーク代表の発言は、韓国が米国自動車に対して開放の幅を拡大してこそ、FTA批准も米議会に提出することができるという意味と受け止められ、FTAの批准までは曲折が予想される。これは、米議会の多数派である民主党の思惑をそのまま反映したものだ。
またカーク代表は、「USTRは、米国自動車に対する障壁だけでなく、牛肉の交易やその他の製品に対する韓国の非関税障壁についても懸念している」とし、「このような懸念を解消できる提案を練っているところだ」と話した。カーク代表は、来週シンガポールで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で韓国の通商担当長官と会って米側の立場を伝える模様だ。しかし、米国自動車の市場開放の要求に関連して、さらに詳しい内容については触れなかった。
さらに、「韓国と米国の政治経済的な関係は大変重要であるので、この問題はきちんとクリアしなければならない」とし、「韓米関係が引き続き前進するためには、広範な政治的支持が必要だ」と強調した。
米国は昨年、韓国で7000台あまりの自動車を販売しているのに対して、キア自動車は今年10月だけで5万3000台を米国に売った。カーク代表の発言は、オバマ大統領の最重要改革政策である健康保険の改革法案や気候変化対処案、アフガニスタンへの兵力増派問題などで後回しされ、米議会に上程もされていない韓米FTAに対する米側の立場を示したものだ。
米国自動車業界は、カーク代表の発言に対して、早速歓迎をコメントを出した。フォード自動車のスティーブ・ビーガン副社長は、「韓米FTAを妥結する前に、米国と韓国の自動車交易の深刻な不均衡を正そうとするオバマ大統領の努力に感謝する」と話した。
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