死刑廃止運動の「伝導師」と呼ばれる李相赫(イ・サンヒョク)弁護士によると、死刑囚らは概ね4段階の変化を経る。死刑が確定した初期には、死刑に対する極度の拒否感を示す。面会も拒否し、社会を恨む態度を見せる。2段階では、世の中を悲観し、人生をあきらめたような行動をする。自殺の可能性が最も高い時期だ。3段階は、再び生存の本能が高まる時期。裁判中には死刑が執行されないという点を狙って、刑務所内で犯罪を犯すこともある。最後の段階には、後悔して反省し、生きるために苦しむ姿が見られる。
◆国内の死刑制度廃止をめぐる論議は89年以降活発になったが、今も賛否両論が拮抗している。死刑廃止を主張する側は、「憲法に保障された生命権を侵害する違憲的制度」、「法の名で行う殺人」と主張する。反対論は、「凶悪犯は、犯罪に相応する極刑を受けなければならない」、「死刑制度廃止は、犠牲者よりも犯罪者の人権を重要視する理想論」と言って対抗する。世界的には、死刑制度廃止国家が増加する傾向だ。国内では世論の起伏が激しい。連続殺人事件のような凶悪犯罪が発生すれば、死刑制度賛成論が力を得る。
◆婦女子13人を殺害した死刑囚の自殺で、死刑制度をめぐる論議が再燃した。彼は、刑務官の監視が緩い明け方に、リサイクルゴミの回収用ビニール袋をよじって作ったひもで首をつって自殺した。死刑を自ら執行したのか。いつ死刑が執行されるかわからない死刑囚でも、自ら死ぬようにしてはならないというのはアイロニーだ。ともかく、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち受刑者の自殺率1位という記録は、矯正当局が恥じるべき事態である。
◆韓国は、48年の政府樹立後50年の間、約1000人に死刑を執行した。しかし、97年12月30日以降10年以上、死刑は執行されておらず、「事実上死刑制度廃止国家」に分類されている。憲法裁判所は、96年に死刑制度合憲決定を下したが、旅行者4人を殺害した宝城(ポソン)漁夫オ氏事件の控訴審で、裁判所が昨年10月に違憲法律審判を提出し、死刑制度は再び憲法裁の審判台に上った。公開弁論まで終えた憲法裁が、果たして死刑制度に死刑を言い渡すのかに注目が集まっている。
権順澤(クォン・スンテク)論説委員maypole@donga.com