任太煕(イム・テヒ)労働部長間が「来年から複数労組を全面的に認め、労組専従者の賃金支給の禁止は公企業と大企業から施行する」と明らかにした。任長官は26日、済州島(チェジュド)で開かれた新聞放送編集人協会のセミナーで「複数労組の設立は基本権であり、これ以上猶予することはできない」と述べ、最近の労使協調ムードでは複数労組が実施されても、過激闘争に出る労組は多くないだろうとの認識を示した。
1997年、労働組合法は、労組専従者の給与支給禁止を明示したが、3度も施行を延ばしながら、労使が専従者の数を縮小するために努力することを義務付けた。ところが、個別労組の平均専従者数は2002年に2.2人から2.6人に増えたのが実情だ。
複数労組が実施されても、任長官の楽観通り、労使協調ムードが続くのか、民主労組のような過激な上級団体が複数の企業に新しい過激労組を植え付け、1987年以降20数年ぶりに「労組疾風怒濤時代」が再燃するのか、焦眉の関心時だ。同一事業所に作られた複数の労組が、初期には鮮明性をめぐる競争を繰り広げる可能性も高い。グローバルな金融危機をようやく乗り越えようとしている韓国経済が、そのような労使不安の状況にも耐え切れるのか、心配なのも事実だ。パイロット、整備職など職種別に8つの労組を置いている日本航空(JAL)の場合、2006年に、経営危機を打開するための賃金削減案が、1万あまりの組合員を擁する最大労組の同意を取り付けたが、残りの労組が反発し、いまだに高費用構造から抜け出せないまま経営危機に陥っている。
労組胞は、また労働部長官が2009年12月31日まで、交渉窓口の一元化を講じるよう明示している。しかし、法施工の猶予が13年目を迎えている今まで、交渉窓口の一元化のための対策がまとまらいでいる。李明博政府が政権打倒運動を繰り広げている政治屋の貴族労組の介入を懸念しながらも、一旦は複数労組を認めたうえで、問題点を補うとしたのは安易な面がある。
「厳しいときほど原則を守るべきだ」という任長官の認識は、基本的には正しい。しかし、韓国のように、原則どころか不法暴力を日常化している過激労組が堂々と大手をふるっている状況下で、「複数労組は基本権」という原則と経済現実の間で、より真剣な検討が必要に見える。敢えて原則を言うのなら、労組専従者の賃金支給こそ猶予なく全面的に施行されるべきだ。
労使合意がなされない場合、政府が提示するとしている窓口の一元化案で、複数労組時代の労使関係を安定させることができるのかも未知数だ。労組活動にグローバルスタンダードを適用しようとするならば、法と制度だけでなく、認識も変らなければならない。政府は「複数労組許容および労組専従者の給与禁止」を来年から施行することに伴う国家的なコストが、現在のように継続猶予することによるコストより少なくかかるようにする責務がある。