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[オピニオン]水没危機のヴェネチア

Posted December. 03, 2009 07:41,   

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「水の都」から「アドリア海の女王」までイタリアの名品都市ヴェネチア(英語ではベニス)を修飾する言葉はきりがない。118個の小さな島が400の橋でつなげてあるヴェネチアは、「人間が作った一番美しい都市」「最もロマンチックな欧州の都市」と称えられるほどだ。「ローマ人物語」の著者の塩野七生は、ヴェネチアを他の「水の都」とはレベルが違うとして「海の都」と呼んだ。ヴェネチアへ行ったことがある人なら、古色蒼然とした建物の間の水路をゴンドラに乗って往来し、サンマルコ広場でビールを飲んだ思い出を胸にしまっているだろう。

◆5世紀ごろ、ベネト住民がフン族の侵略を避けて、葦しかなかった干潟に移住したことを機に、ヴェネチアに人が住み始めた。東西仲介貿易や外交術で富を築いたヴェネチアは、1797年、ナポレオンに征服されるまで、欧州の文化中心都市に繁盛した。ヴェネチアが「四季」の作曲家・アントニオ・ヴィヴァルディの故郷であり、シェイクスピアの名作「ヴェニスの商人」と「オセロ」の舞台であることは偶然でない。都市全体がユネスコの世界文化遺産に指定されているヴェネチアは、映画、建築、美術、デザインなどに関する国際的な祭りで過去の光栄を受け継いでいる。

◆ヴェネチアは、1年に60回以上水に浸かる常習浸水都市になって久しい。元々、干潟に数多くの木杭を打ち込んで作った地盤が徐々に沈下してきた上、海水面まで上昇しているからだ。1966年、大規模な水害以後、多様な対策が模索されたが、成果は上がっていない。米経済専門誌のフォブスは、昨年、ヴェネチアが浸水危機のため、人口が急激に減って存廃の危機に直面していると警告した。専門家らは、ヴェネチアが30年になると、海水面が上昇して人が住めなくなると、悲観的な見通しを示した。

◆地球温暖化による海水面の上昇で、危機に追い込まれているところはヴェネチアだけではない。モルディブやバングラデシュは言うまでもなく、南太平洋の島国・ツバルは、50年になると、完全に水に浸かるという予測も出た。ヴェネチアの危機は、「人間が作った一番美しい都市」が人間の無節制や貪欲による環境破壊のため、消えてしまうかも知れないという警告を発している。

権順澤(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com