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[オピニオン]判事の「ローファーム老後保険」

[オピニオン]判事の「ローファーム老後保険」

Posted December. 05, 2009 09:47,   

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法曹界の根強い悪習である「前官礼遇」は世界的にも歴史が長い。中国の明時代には、前官礼遇を公式に認める「議功」という制度があった。国に功績の多い退職官僚とその子孫に様々な特典を与えたという。朝鮮王朝時代には、吏曹と兵曹が王に人事案を提出する際、退職した上官を優先的に推薦することが頻繁に行われた。勢道政治や派閥間争いの根幹になったのは言うまでもない。このような過去の慣例が、本日の法曹界の前官礼遇にまで拡大したという仮説が説得力を持つわけだ。

◆ローファーム(法律事務所)中心の前官礼遇をめぐる議論が新たに浮き彫りになっている。ローファームの裁判所や検察高官のスカウト競争は、「前官礼遇争奪戦」に他ならない。数億から数十億ウォンという巨額の年俸を与えて、最高裁判官や裁判所長、高等裁判所や地方裁判所の部長判事、検事長以上、検察の高官を務めた人をスカウトする理由は、前官礼遇を訴訟に利用したいという意味に他ならない。「トップ5」に挙げられる大手ローファームに入れた弁護士は、それこそ「人生逆転」である。司法研修院の成績が優秀で抜擢された新米弁護士の年俸も1億ウォンを上回る。一定期間を勤務した後は、ローファーム費用で海外留学の機会も与える。

◆大手ローファームの力について、「長官も作れる」という言葉まである。歴代政府の高官経験者らが勢ぞろいで、まるで政府が移ってきたような印象を与えるところもある。弁護士資格のない経済官僚も「顧問」などで活動する。ローファームと政府高官を行き来する「回転ドア弁護士」の解決能力はさらに大きいだろう。司法権の独立を阻害する勢力として政治権力のほかに、ローファームが挙げられる所以である。権力がらみの汚職が介入する余地もある。

◆ローファームは、現職時代の職位や司法研修院の期数別に階層構造が作られており、マンパワーにおいても裁判所や検察に負けない。ローファーム事件を担当した判事や検事がローファームの顔色を伺うのも珍しいことではないと言う。大企業の訴訟に大手ローファームが欠かさず介入するのは、専門性だけでなく、前官の活躍がそれほど大きいことをうかがわせる。最高裁判所・公職者倫理委員会が、担当判事とローファームとの隠密な「就業現象」ににらみを利かせ始めた。判事らの「豊かな余生」を保証する「ローファーム保険」を破ることができるか注視したい。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com