北朝鮮消息筋によると、北朝鮮で新型インフルエンザに感染した患者が始めて確認されたのは、今年の5月初め。南米地域を訪問して帰国したある官僚の感染が確認されたが、当局はこれを公開せず、秘密裏に隔離治療していたという。その後、北朝鮮は税関や空港などでの防疫活動を強化したが、新型インフルエンザの流入と拡大を阻止することはできなかった。
対北朝鮮人権団体の「グッドネイバース」は7日、北朝鮮の各学校が予定より約1ヵ月早い今月初めから冬休みに入り、死亡者も発生していると伝えた。米国のボイス・オフ・アメリカ(VOS)放送も同日、世界保健機関(WHO)が北朝鮮での新型インフルエンザ患者の発生について調査を行っていると報じた。
消息筋によると、北朝鮮当局が新型インフルエンザの予防を呼びかけているが、住民のほとんどがこの病気の正確な症状についてわかっていないという。医療機関の医療水準が低く、感染が疑われる患者がいても感染を判別できない状態だという。
最近北朝鮮を逃れた医師出身の脱北者は、「8月に夏風邪が流行したが、それが新型インフルエンザかどうかは確認できなかった。上から防疫の指示があっても、下部の医療施設には特に打てる手段がない。また、死亡者が発生しても、それか新型インフルエンザによるものかどうかわからなかった」と話した。
北朝鮮もWHOなどを通じて治療剤のタミフルを確保しているが、権力を持つ指導層だけに提供されており、一般住民の手には入らない状態だという。北朝鮮当局は、欧州地域の駐在員などを通じて、金正日(キム・ジョンイル)総書記と高官向けと見られる新型インフルエンザのワクチンと治療剤を大量に搬入したという。