李明博(イ・ミョンバク)大統領は昨年4月、民間団体である民族問題研究所の親日人名辞典予備リスト公開後、「親日問題は、功績と過失でバランスを持って見なければならない」と述べた。民主党など野党は、「親日リストの公開に対し、否定的な見解だ」として大統領を攻撃した。先月8日、民族問題研究所は、親日人名辞典に掲載された最終リストを発表し、これと別途に大統領所属の親日反民族行為真相究明委員会(親日糾明委)も、1005人の「親日リスト」を発表した。これに対し、大統領府は、何の反応も示していない。この間、親日問題を見つめる大統領府の見解に、どのような変化が起きたのか。
◆ニューライト側の論客であるソウル大学の朴孝鍾(パク・ヒョジョン)教授は16日に、「正しい社会市民会議」主催の討論会で、問題を提起する予定だという。朴教授は、事前に配布した原稿で、「親日リスト問題に関連した政府の態度を暗黙的同意と見るべきか、懸案そのものに対する回避と受け取るべきか、今のところ分からないが、いずれにせよ卑怯な姿勢だ」と批判し、「政府は、『燃えたぎるかがり火』でクリの実を取り出すことを在野の右派・保守だけに任せるつもりか」と問いかけた。親日リストが偏向的・政派的に作成されたことを正すのをなぜ右派・保守だけに任せるのかという指摘だ。
◆親日糾明委は、先月末に活動を終了したが、親日リストの不当性・偏向性論議は静まっていない。親日リストに含まれた一人一人を最終決定する席で、委員11人が多数決で判定したという事実が明らかになった。慮武鉉(ノ・ムヒョン)政権が作った左派優勢の委員会が、親日かどうかを多数決で決めたというのだから、呆れたことである。左派陣営が好む左翼の人物であり、親日リストから外された呂運亨(ヨ・ウンヒョン)の親日関連の新資料が、次から次へと出ている。
◆同委員会が作成した「親日リスト」は、大韓民国の正統性に傷をつけようという意図があるという点で、その法統を受け継いでいる現政権も無関心であってはならない。しかも、親日糾明委は、大統領所属の機関である。誤った過程と結果に対し、政府が使命感を持ち、玉石を見分けなければならない。国のアイデンティティと綱紀がかかった重大な問題である。敏感な問題という理由で、現政権の「中道実用」が誤ったことに目をつぶることは遺憾である。
洪賛植(ホン・チャンシク)首席論説委員 chansik@donga.com