許丁茂(ホ・ジョンム)監督(写真)が、「Bグループに入ったことに不満ばかり言っている場合ではない」と言ったのは、全くその通りである。許監督は、若い選手を迎え入れ、チームの再建に努めてきた。過去の経験を生かし、世界ランキング上位チームを乗り越える準備をしなければならない。それが韓国チーム自ら「太極戦士」と呼ぶ理由であろう。筆者は02年、韓国サッカーの最高の瞬間を見届けた。ポーランドを下した上、ポルトガル、イタリア、スペインを相次いで制した。韓国の凝集力は「ベスト11」それ以上だった。しかし、南アフリカ共和国ワールドカップ(W杯)を控え、一つの質問を先に投げかけなければならない。果たして太極戦士は、あの時と同じなのか。
●02年のような熱狂的な応援はもうない
02年、韓国の栄光は選手だけのものではなかった。全国民が見せてくれた赤い波の力が大きかった。06年、ドイツW杯で見せてくれた韓国ファンの熱狂的な応援も、印象的だった。しかし、観客席で数千人の息づかいやそれぞれの街に数百万のファンが一緒にいることを選手らが感じたのは、02年が最後だ。あの時の栄光は、「韓国がドーピングをした」という誰かの主張や、審判の判定のおかげというイタリアの言い分より、さらに大きな背景があった。選手らと全国の赤い波が一丸になったからだ。このようなことは、韓半島で、再度W杯が行われる時に限って可能である。
●テクニック—体力への自信を育てろ…朴智星が16強入りのカギ握る
韓国は、南ア共W杯で勝たなければならない。代表チームには、朴智星(パク・ジソン)をはじめ、李雲在(イ・ウンジェ)、金南一(キム・ナムイル)ら、02年大会のメンバーがいる。朴智星は、世界最高イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドでプレーしている。世界トップクラスの選手だ。朴主永(パク・ジュヨン)は、フランスASモナコからビックリーグへの跳躍を準備している。この2人の選手は、ベスト16入りを果たす上で、大きな役割を果たすはずだ。
Bグループは、とても興味深い組み合わせだ。スズメバチのような韓国、「トロイの戦士」ギリシャ、「南米テクニックサッカーの大家」アルゼンチン、「スーパーイーグルス」のナイジェリアが激突する。
韓国は4年前のドイツW杯で、強豪フランスと1対1で引き分けるなど、1勝1分け1敗と善戦した。たとえ、グループリーグ落ちしたと言えども。南ア共では、少なくとも1勝2分けをしなければならない。そうするためには、テクニックと体力の支えが欠かせない。そして、これをけん引するリーダーシップが肝心だ。その中心に朴智星がいる。朴智星は、マンUと代表チームという両刃の剣の上に立っている。膝の具合が良くない状態で、マンUと代表チームを同時に率いなければならない。
朴智星一人が、韓国を代表にすることはできない。しかし、朴智星の役割次第で韓国のW杯の命運が変わるのは必至だ。韓国としては、彼が来年の夏まで元気でいることを祈らなければならない。
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