東国(トングク)大学北朝鮮学科の金榕鍱(キム・ヨンヒョン)教授も、「北朝鮮としては、首脳会談の議論を取り上げることで、韓国政府にプレッシャーを与えようという考えだ。貨幣改革など、内部経済を立て直すには、中国だけに依存することは難しく、韓国の支援が必要だろう」と分析した。
そのような脈絡で、任太熙(イム・テヒ)労働部長官と北朝鮮の金養建(キム・ヤンゴン)統一戦線部長の昨年10月のシンガポール接触や、「統一部と統戦部ライン」の11月の接触などに続き、新たな公式あるいは非公式チャンネルの稼動を北朝鮮側が希望してくるという展望も出ている。韓国政府は急がないという公式態度を堅持している。外交安保ラインのある当局者は3日、「現在、具体的に進行していることはない。北朝鮮が対話に向けて柔軟ジェスチアーを見せているが、今後どのように出てくるか、もう少し見守る考えだ」と話した。同当局者は、李明博(イ・ミョンバク)大統領が昨年11月27日に大統領との対話で明らかにした通り、核問題の一括妥結構想「グランドバーゲン(grand bargain)」の貫徹と国軍捕虜や拉致被害者の帰国など、人道的問題が解決されなければならないという政府の公式方針を繰り返し説明した。
しかし、政府内では、政権3年目の今年が、南北首脳会談の適期という意見が少なくない。このため、北朝鮮が核問題と国軍捕虜や拉致問題などに対してある程度前向きな態度に出る場合、韓国政府も、積極的に南北首脳会談に向けた事前接触に乗り出すものと予想される。韓国国防研究院(KIDA)が、「2009年安保環境評価と2010年展望」という報告書を通じて、「グランドバーゲン案を履行できるよう南北首脳会談を含む様々な接触を通じて北朝鮮を説得するなど、態度を変化させるための一定レベルの戦略的介入を推進する必要がある」と明らかにしたのも、同じ脈絡と分析される。
北朝鮮が、核問題や国軍捕虜、拉致問題などで誠意を示す場合、首脳会談の議論に速度がつく可能性がある。
これに先立ち、昨年末に発表された統一研究院の「2010年北朝鮮および南北関係情勢展望報告書」は、「来年(2010年)上半期以降、南北首脳会談が開催される可能性がある。場所はソウルでなくても、板門店(パンムンジョム)か開城(ケソン)・都羅山(トラサン)地域が考慮されるだろう。首脳会談は、核問題と南北関係の新たな突破口を開くために必要だ。経済難と後継構図の構築など様々な理由で時間に追われる北朝鮮の立場では、南北関係を硬直局面にのみ引っ張っることはできないだろう」と分析していた。
6・2地方選挙を控え、首脳会談をする場合、政治的論議に包まれる恐れもある。政府当局者は、「今年は、李明博政府発足3年目やグランドバーゲンの実現という点で、重要な年だ。しかし、冷静に進めていく」と強調した。