政府による世宗市(セジョンシ)を巡る修正案の発表が迫っている中、与野党はもちろん、政派間でも賛否が分かれ、政争や対立が深まっている。民主党の丁世均(チョン・セギュン)代表は、「修正案は、原案の10分の1にも満たない失敗した拙作中の拙作だ」と批判した。自由先進党の李會昌(イ・フェチャン)総裁は、「世宗市を企業からの土地投機の供給基地と仕上げている」として、全面拒否を宣言した。このような状況で、与党ハンナラ党も親李(李明博大統領系)と親朴(朴槿惠氏系)とに分かれており、政府が果たして修正案を貫くことができるか気になる。
世宗市修正案を巡る評価は、国の発展や忠清(チュンチョン)地域の住民のために、果たして役に立つかどうかがその基準となるべきだ。政党や有力政治家が特定地域の票を獲得するため、原案または修正案に賛成したり、反対したりする態度は、典型的なポピュリズムにほかならない。
世宗市を巡る問題がここまでこじれることになったのは、ともかく票だけ獲得すればよいという政略が先立ったためである。02年の大統領選挙の際、盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補が、選挙戦略レベルでまとめた行政首都の移転が、憲法裁判所の違憲判決により不可能となり、行政の分割へと変質したのである。この過程で、行政の分割による非効率性や自足機能の不足などは見過ごされた。
9部2処2庁の省庁移転のためなら、ソウルの政府総合庁舎規模のビル2つのみ建設すれば済む話だ。果川(クァチョン)政府総合庁舎周辺の商人らは、「お昼の商売しかできない」と口にするほどだ。世宗市の原案は、行政省庁が中心となっている都市だ。今、政府がまとめている修正案は、主要企業各社や大学、研究所などが立地し、膨大な投資や雇用を創出できる未来型都市だ。三星(サムスン)をはじめ大手企業による投資が予想され、ソウル大学や高麗(コリョ)大学、KAISTのような名門大学のキャンパスが立地する計画だ。2つのうちどれが忠清住民や国に役立つか、その答えははっきりしている。むしろ、他の地域では、相対的な剥奪感を訴えている現状を、忠清道民らは気づくべきだろう。
世宗市を巡る議論は、今年6月の統一地方選挙を控え、政治扇動のネタになりかねない兆しを見せている。世宗市は、特定政派や政治家の利害損得、政情の犠牲になってはならない。何よりも、政府や与党から先に修正案に対し共感ができてこそ、野党と国民を説得することができる。