趙顕五(チョ・ヒョンオ)ソウル警察庁長が、警察官と性風俗店・ギャンブル場との癒着不正を断ち切るため、携帯電話の通話記録と銀行口座の明細を令状なしに閲覧できるように事前同意書を提出するように指示した。一線の警察官の間では、「プライバシーの過度な侵害だ」と反発の動きが出ている模様だ。金鑭圭(キム・ジュンギュ)検察総長も、「水面下の不正である教育不正の清算に専念するように」と指示し、人事請託や工事費や校費横領の根絶に向けた捜査に乗り出した。相次ぐ教育界の賄賂事件で大恥をかいたソウル市教育庁は、汚職の告発者に1億ウォンの報奨金をかけた。
産業化や民主化の課題を達成し、先進化へ向け進んでいる21世紀の大韓民国で後進国型の不正が後を絶たないのは、国格を失墜させることだ。最近の公務員による汚職は、かつて薄給に苦しんだ「生計型汚職」とは違う。公務員は失業の恐れもなく、待遇や年金は一般の国民から羨ましがられるほどだ。それにも関わらず、市民と日常的に接する警察や教師、公務員が市民の便宜をはかる旧態はまだまだ根強い。
警察官の個人の携帯電話の記録を調査するというやや極端な措置が出たのも、このためであろう。一部では、全体警察の士気をくじくと反発を強めている。令状なしの通話や口座調査はいくら目的が正当だとは言え、行過ぎた手段だと見方もある。しかし、公職者任命の時も、口座追跡同意書をもらい、検証を行う。対民現場の警察や税務・教育公務員を取り込む癒着や不正の誘惑は、高位公職者に劣らない。一線公務員が汚職や不正に走っては、政府の信頼が地に落ちるしかない。
国民と司正機関が、厳しい目を向けているということだけでも、警戒心を呼び起こす効果はあるだろうが、実効性には疑問がある。携帯電話でなくても、連絡できる手段は、いくらでもある。監査官室から覗き込んでいることを知っていながら、賄賂を預金口座で受け取る警察官もいないだろう。汚職に対する国民の批判が高まっているため、ショック療法で視線を引いてみようという狙いではないか心配だ。
教育界でも、父兄の経済的水準の高い学校の校長や教頭、昇進の近道である教育庁の奨学士の座をめぐり、醜いお金のやり取りが絶えない。学校現場で、このようなことが起きているから、未来を担う世代が何を見習うか心配でたまらない。このような教育不正は、全国教職員労働組合(全教組)に闘争の名分を提供する。もう昇進を諦めた教師らが、全教組の威勢に頼り、職を保障してもらう事もこのため起きる。
何より一線の警察官や教師、公務員の徹底した公僕意識が先行されなければならない。「父は警察官だ」「母は先生だ」と子どもが堂々と自慢できるように、し烈な自浄努力が切実に求められる。警察官が制服を着て、出勤するキャンペーンも共に始めてほしい。公務員にお金を渡し、事を解決しようとする市民と父兄も消えるべきである。