1999年11月に導入した「実質取引価格償還制」で、病院・医院は1000ウォンの薬を製薬会社から1000ウォンで購入していると申告してきた。しかし、実際、製薬会社は、医薬品を700ウォンに納品し、残り300ウォンを病院・医院へリベートとして、提供してきたという疑惑がもたれている。保健福祉部(福祉部)がまとめた今回の対策は、病院・医院と製薬会社間で、水面下で行われているリベートを表面化し、一部(30%)を患者に払い戻すというものだ。
朴ハジョン福祉部保健医療政策室長は、「2000年の医薬分業以降、薬価が毎年10%以上増加し、全体の健康保険財政支出の30%(10兆3000億ウォン)を占めている。薬価が5%減った場合、年間約3600億ウォンの健康保険財政が削減できるものと期待している」と述べた。
福祉部は、薬価のリベート授受が摘発されれば、製薬会社と医師に1年以下の懲役、または3000万ウォン以下の罰金刑を科すことができる両罰主義も導入する。医師の資格停止も2ヵ月から1年に増える。製薬会社は、リベート提供が1回摘発されれば、薬価を20%値下げしなければならず、2回以上摘発された場合、健康保険の給付リストから該当医薬品を除外される。リベート通報者には、最大3億ウォンを与える「通報褒賞金制度」を取り入れる。
韓国製薬協会は、政府の方策について「薬価の引き下げにより、業界は破綻に追い込まれるだろう」と反発している。オ・ジョンソン製薬協会長は、「薬価の値下げで収益減となれば、研究開発費と人件費を削減するため、業界の環境はさらに悪化する。生き残りのため、闇リベートがさらに幅を利かす可能性が高い」と述べた。製薬会社がリベートを過去より多く提供し、既存の価格台で購買を要求する裏面契約が増えるということだ。
政府の方策が実行され、薬価が値下がりすれば、業界間の価格競争が激化し、零細製薬会社は構造調整を迫られるものとみられる。韓国で生産される薬のうち、コピー薬の割合が71.9%に達する現状で、価格競争以外には代案がないからだ。朴炯郁(パク・ヒョンウク)延世(ヨンセ)大学医大医療法倫理学科教授は「今回の政策変化で、製薬市場にも市場原理が働き出すだろう。ただ、製薬産業の基盤が脆弱なだけに、育成政策も並行しなければならない」と付け加えた。
新薬価制度と両罰規定などを10月に実施するためには、健康保険法の施行令および医療法と薬剤師法を先に改定しなければならない。国会にはリベートを授受した医師や製薬会社に対する処罰を明示した医療法・薬剤師法の改定案がそれぞれ3件発議されているが、常任医院のうち、医師と薬剤師出身が多いため、論議が遅々と進まずにいる。