昨年6月、時局宣言に参加した全国教職員労働組合(全教組)の幹部に対して、またも無罪が言い渡された。これで、国家公務員法の政治的中立義務違反疑惑で起訴された全教組幹部や教師に対する1審の有罪・無罪の判決が2対2となった。仁川(インチョン)地裁と大田(テジョン)地裁洪城(ホンソン)支部の判事は有罪を、全州(チョンジュ)地裁と今回の大田地裁の判事は無罪を言い渡している。教育公務員の政治的中立に対する判断基準が、判事個人の意向によって両極端に分かれたとで、司法への不信が深まっている。
大田地裁の金ドンヒョン単独判事は25日、「時局宣言が特定の政党、政派を支持したものではないため、政治的中立義務に反していない」とし、全教組の大田支部幹部3人に無罪を言い渡した。しかし、大田地裁洪城支部のチョ・ビョング単独判事は11日、「特定の政党、政派を支持しなくても、政府の政策決定や執行を阻止したり、影響力を行使するために別の政治勢力や社会集団と結びつく行為は、法に禁止された集団行動だ」として、全教組忠南(チュンナム)支部の幹部3人に有罪を言い渡した。同じ事項に対して完全に相反する結論を下したのだ。
今回の判決は、公務員の表現の自由の領域をあまりにも広く認めた。「人間は元来、政治的存在であり、すべての社会的行為は政治性を帯びる」だとか、「公務員の批判権利も幅広く容認することが、公益を増進させる道だ」とかいう判断は、実定法を越える政治的見解だ。また、「教師の時局宣言が生徒に与える影響が大きいという意見は、画一的な教育を受けた既成世代の古い見解だ」、「彼らを処罰するなら、かえって生徒たちが『力がある者への批判は損だ』と考えるようになり、反教育的だ」ということも、国民の常識に反する判事個人の偏った見解だ。「無罪」の結論を先に出した後で下した「つじつま合わせの判決」という批判は逃れがたい。
公務員の政治的中立に関する司法の判断は、厳格でなければならない。政府の政策決定と執行に参加する公務員たちが、集団行動を通じて個人的な政治的主張をむやみに公言することは、公務員が社会の混乱の先頭に立つことだ。政策遂行の過程で賛否の議論が必要なら、該当公務員組織の内部で意見をまとめればいい。政府構成員の公務員が、政府権力に抵抗し、街に出て闘争まですることは、絶対に容認してはならない。教師たちが、MBCテレビ「PD手帳」や龍山(ヨンサン事件、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の死亡原因、メディア法改正、京釜(キョンブ)運河事業に対して集団行動をしたにもかかわらず、政治的中立義務を違反しなかったとすれば、呆れた話だ。