北朝鮮が中国に対し、「中朝友好協力相互援助条約」の「自動介入」条項修正を求め、両国で論議が起こっているという。
3日、北京のある北朝鮮情報に詳しい消息筋は、北朝鮮が、昨年5月の核実験後の制裁局面の打開に向け、中国と接触する際、条約改正を提案したと、北朝鮮官僚らの言葉を引用し伝えた。昨年10月、中国の温家宝首相が、平壌(ピョンヤン)を訪れ、金正日(キム・ジョンイル)総書記と会談の際、国営新華社通信などが報じた会談内容には、「自動介入」条項の改正議論があったかどうかは、報じられなかった。しかし、同消息筋は、北朝鮮側が提案した「自動介入」条項を改正するかどうかは大きな懸案であり、金総書記の訪中議題にも含まれていると話した。
北朝鮮が、両国の軍事同盟関係を支える中心的な役割となる同条約修正を求めたことが明らかになったのは、今回が初めて。61年7月に締結された「友好協力および相互援助に関する条約」は、条約修正または廃棄において、いずれか一方の締約国が意見を提示しても、他方の締約国が同意しない限り有効だ。条約第2条は、「いずれか一方の締約国が、いずれかの国または同盟国家群から武力攻撃を受け、それによって戦争状態に陥ったときは、他方の締約国は、直ちに全力で、軍事上その他の援助を与える」と規定している。
北朝鮮は、同条項に対し、「一方の締約国の要請がある場合」、他方の締約国が軍事援助などの介入ができるように修正することを提案しているということだ。
北朝鮮が、「自動介入」条項の修正を求めたのは、北朝鮮の意志とは関係なく、中国が介入する事態を憂慮しているためだという。金総書記は、後継体制の安定のためには、後継者に対する中国の支持が必要だが、「不必要な影響力の拡大」も牽制する必要があると考えており、その場合、「自動介入」条項は修正が必要だと判断していると、同消息筋は伝えた。
北朝鮮は、中国は同盟国だが、経済援助などを理由に影響力が大きくなることを警戒してきたと、北朝鮮専門家らはみている。90年代中盤から後半の「苦難の行軍」の時期に北朝鮮が、中国に助けを求めなかったのも、そのためだという。
国家安保戦略研究所の朴ビョングァン博士は、「北朝鮮が条約改正を提案したとすれば、米国との関係改善、さらに平和協定の締結が切実な状況で、中朝間の軍事同盟条約の『自動介入』条項に、障害になると判断した可能性もある」と指摘した。北朝鮮としては、中国の影響力も牽制し、米国と平和協定を結ぶため、非核化以外にさらなるカードとして活用するなど、一挙両得になるということだ。
しかし、国内の別の北朝鮮専門家は、「核実験後の制裁局面を打開するために、中国の支持がいつになく必要な時に、両国の同盟の中心である条約の改正を提起することは、両国関係を疎遠にする可能性があり、状況と合致しない」と疑問を示した。
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