中国が、人民元の為替相場調整もありうることを示唆したことを受け、グローバル金融危機以降、国際金融市場の熱い話題となっていた人民元の切り上げが再び浮上している。特に、中国のこのような態度は、これまで米国を含む西側諸国の再度に渡る人民元切り上げ要求に事実上、「ノーコメント」の姿勢を貫いてきたのとは、はっきり異なっており、人民元の切り上げ時期が迫っているという分析が説得力を得ている。
韓国最大の交易相手国である中国の為替政策の変更は、韓国経済にも相当影響を及ぼす事柄だけに、人民元の切り上げ時期やその範囲に関心が集まっている。
中国の為替政策が重大な転換点に差し掛かっていることは、周小川人民銀行頭取の発言で、明らかになった。周頭取は、6日と7日の全国人民代表大会の期間中、メディアと会い、「対米ドル比ほかの通貨との為替トレンドについて注意深く見守っている」とし、「中国の通貨政策は、経済指標の変化などに合わせ、進めるつもりだ」と明らかにした。さらに、「非常システムはいつか、正常化されるだろう」とも触れた。
これは、昨年11月、バラク・オバマ米大統領と国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン総裁が、中国の北京を訪れ、人民元の切り上げを容認する必要があると主張した時、公式的な反応を自制したのとは対照的な様子だ。中国は当時、高官の発言を通じ、「人民元の為替安定性確保措置は、当分不可欠だ」という見方を示した。
周頭取が口にした非常システムとは、中国は05年7月、固定相場制から管理変動相場制に変更後、人民元は対ドル比21%も切り上げられたが、グローバル経済危機の兆しを見せていた08年7月から、1ドル=6.82人民元と、事実上固定されている現状を意味する。結局、非常システムの正常化とは、固定相場制から管理変動相場制への復帰を意味することになる。
人民元の切り上げ時期については、「早ければ、来月から始めるだろう」という見方が強い。米国は今後も、人民元切り上げへのプレッシャーを強める可能性が高い上、中国も同様に昨年12月から、輸出伸び率が1年ぶりにプラスに転ずるなど、切り上げ時期が熟しているためだ。
米国の代表的な経済悲観論者であるヌリエル・ルービニ・ニューヨーク大学教授は8日、ブルムバーグ通信とのインタビューで、「中国は、固定相場制を早ければ第2四半期中に終了し、ひとまず2%の人民元切り上げた後、12ヵ月以内に再び1〜2%切り上げに踏み切るだろう」と見込んだ。
切り上げ幅は、5%以内になるだろうという見込みが説得力を得ている中、3〜6%とさまざまな見方が出ている。三星(サムスン)先物のチョン・ミヨン・リサーチチーム長は、「1年以内に少なくとも3〜4%の切り上げは、市場では皆が予測している数値だ」とし、「すでに、1年物の人民元先物は、3〜4%切り上げられ、取引されているだけに、市場予測とはそれほど変わらないだろう」と語った。
政府は、人民元切り上げが現実となる可能性を見極めながら、外国為替や金融市場へのモニターリングを強化し、万が一、見舞われかねない「中国発ショック」を食い止める方針だ。企画財政部の高官は、「中国は自国の経済政策の関しては、外部からの圧力が激しくなっても、なかなか諦めようとしない」とし、「外国為替市場からの圧力により、人民元を切り上げても、輸出を大幅に減速させるほどの切り上げには踏み切らないだろう」と見込んだ。
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