ベストセラー操作疑惑が提起されている。ベストセラーの集計は1週間単位で行われるので、本を一度に購入すれば、ランキングに名前を上げることができる。方法も難しくない。アルバイトを使い、インターネット書店などで購入すればいい。コストはかかるが、ベストセラーになった場合の広報効果が大きいため、一部の出版社は「作戦」の誘惑にかられる。出版物不法流通申告センターが9日、ベストセラーになった4冊に対し、買い占め容疑があると発表し、文化体育観光部に届け出た。
◆出版文化産業振興法によると、文化部はこれらに300万ウォン以下の過怠金を科すことができる。しかし、過怠金の金額が低く、実効性がないだけでなく、買い占めを立証することも難しい。今回も、同じ住所地で、様々な注文者が同じ本を注文した場合や、同じ注文者が何度も購入した場合などを買い占めと見て、文化部に申告したが、出版社4社のうち3社が、買い占めを否定した。このように「しらを切る」場合、過怠金を科すことすら容易ではない。
◆映画界にも、ランキング操作の問題が起きている。映画振興委員会がリアルタイムで集計する映画前売り率のランキングは、観覧客が映画を選ぶ重要な基準になる。しかし、曜日によっては1000人以上の前売りだけでも10位内に入るため、操作の可能性がある。チケットを集中的に購入し、ランキングを上げた後、手数料を払い、前売りを取り消せばいい。映画の興行への口コミの威力をよく知る映画会社が、インターネットの映画観覧評に人を動員し、評価を良くするといったことも起こっている。しかし、映画会社の操作もうわさが流れているだけで、匿名が可能なインターネットの特性上、そのまま見過ごされるケースが大半だ。
◆出版社のベストセラー操作は、自害行為も同然だ。操作されたベストセラーを購入した読者は、本を読んだ後、でたらめなランキングに失望する可能性が高く、このようなことが積み重なれば、本自体を遠ざけることになるだろう。読書忌避現象で、たださえ少ない購買者まで追い払う格好だ。文化部は、買い占めに科す過怠金を引き上げ、摘発された出版社に対し、強い制裁を加えなければならない。出版界は、秩序を乱す者が、足を踏み入れることがないよう内部告発の機能を強化してこそ、現在の危機を打開することができる。
洪贊植(ホン・チャンシク)首席論説委員chansik@donga.com