河永求(ハ・ヨング)韓国シティ銀行頭取は、「マラソン経営者」だ。今年で頭取経歴だけみても、10年目だ。河氏は、先週開かれた韓国シティ銀行の取締役会で、次期頭取候補に単独推薦された。30日の株主総会で確定されれば、頭取としてさらに3年間働くことになる。旧韓美(ハンミ)銀行の頭取時代を含めれば、4度目の再任となり、銀行業界では初めて。
17日、ソウル中区茶洞(チュング・タドン)の韓国シティ銀行頭取室で、河頭取に会った。再任の競争力の秘訣から尋ねた。河氏は、「大株主の意思だ」と言葉を慎んだ。韓国シティ銀行は、米シティグループが持分の99.96%を保有している。同様の質問を遠回りに3度聞き、ようやく口をあけた。
「04年11月に、韓美銀行とシティ銀行が統合されました。文化が全く異なる二つの銀行が統合されたわけです。国内銀行同士の統合とはわけが違いました。役員や従業員らの文化的ショックは相当なものでした。これまでは、内部的に強くなるために努力してきました。社員らも黙々と経営陣を信じ、ついてきてくれました。今は、成長戦略を語ることができるほど強くなりました」。
異質の2つの銀行の文化統合作業をうまく進めたと言う評価を受けている。グローバル金融危機に見舞われ、シティグループは大株主が米政府へと移行されるなど苦難もあったが、韓国シティ銀行は、それなりにうまく克服したと言うのが、銀行界内外からの評価だ。実際、昨年末、国内銀行圏の資産は、シティ銀行が占める割合は4%弱だったが、銀行業界全体収益で占める割合はこれより一際高いという。これを受け、これまで「実利経営」に焦点を当ててきたシティ銀行の営業戦略も最近は、「収益性のある成長」へと変わった。
「成長を遂げても、ほかの銀行の営業方法を真似すれば、偏り現象だけが助長するだけです。偏り現象は、金融危機の原因でもありましたね。ほかではまねできない営業モデルを作るつもりです」
韓国シティ銀行は今年から、世界100ヵ国余りに進出しているシティグループの海外ネットワークを活用し、グローバルバンキングサービスをさらに強化する方針だ。海外ネットワークは、シティ銀行を国内のほかの銀行と決定的な差別化できる武器となる。
「メガトレンドに非常に関心があります。次第に目立ち始めている特徴の一つは多様性です。国内に住んでいる外国人が130万人に上っており、ある地域では結婚する10組のうち1組が、多文化カップルだそうです。異質的文化がうまく融合しているシティ銀行こそ、このようなトレンドにもっとも積極的に対応できると思います。近いうちに、関連商品を出す予定です」
韓国シティ銀行の今年の最大懸案は、金融持株会社への転換作業だ。仮称「韓国シティ金融持株」の傘下に韓国シティ銀行やシティグループキャピタル、シティ金融販売サービスの3つの子会社を置き、シティクレジットサービス信用情報を孫会社として置く案を推進している。すでに、金融監督院から予備認可を受けた。統合シティ銀行の発足から6年ぶりに、再び変身を図る。
「来月、本認可が降りれば、5月には持株会社として発足できると思います。持株会社に変われば、子会社同士の顧客データベースを共有することで、さまざまなマーケティングが可能となり、銀行内部でのコスト削減の効果も大きいです」
マラソンは、彼のもう一つの関心事だ。マラソンシーズンを迎え、走るほど金利の上がる「ワンダフル・マラソン通帳」を18日に発売したのに続き、21日は「2010ソウル国際マラソン兼第81回東亜(トンア)マラソン大会」に、韓国シティ銀行の役員や従業員20人が出場し、ボランティアも20人が参加する。
「銀行社屋が清溪川(チョンゲチョン)の川沿いにあり、毎年、東亜マラソン大会に参加する人々を見物できます。今回は、やむなき事情で参加できないが、来年は私もスタートラインに立つつもりです」
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