世界選手権大会で金メダル7個を総なめし、チーム選手権大会で男女同時優勝を果たすなど慶事が重なったものの、歓迎式はどことなく暗い感じがした。30日午後、仁川(インチョン)空港の入国場。コーチングスタッフ、選手、関係者は皆が拍手していたが、ぎこちない笑みを浮かべていた。しばらく後、矢継ぎ早に質問をぶつける取材陣に対し、イ・ジョンス(檀国大、21)が口を切った。「今は何も話すことがありません。とりあえず今日はゆっくり休ませていただきたいです」。
バンクーバー冬季五輪ショートトラック2冠のイ・ジョンスは、20日開幕した世界選手権大会を控えて右足首の痛みを理由にエントリーから外された。次の順位のキム・ソンイル(檀国大、20)も「リレーに集中する」とし個人戦欠場の考えを示し、結局出場権はクァク・ユンギ(21、延世大)に回された。
問題は、しばらく後、安賢洙(アン・ヒョンス、25、城南市庁)の父親、安ギウォンさんが息子のインターネットファンカフェに、「イ・ジョンスの個人戦欠場は、負傷ではなくコーチングスタッフの強圧のため」という書き込みを掲載してから浮き彫りになった。安さんは、「本人の意思とは関係なく、競技出場の譲歩を押し付けたコーチ陣と氷上連盟の不条理は全て明らかにされなければならない」と主張した。
これに対し、大韓氷上競技連盟は早速、「イ・ジョンスとキム・ソンイルが個人戦エントリーから外されたのは全て本人の意思のため」と釈明した。しかし、疑惑はだんだん膨らみ、結局、文化体育観光部の要請を受け、大韓体育会が監査に乗り出した状況だ。
同日、イ・ジョンスは、「世界選手権大会に関する質問は遠慮していただきたい。体育会の監査を通じて話す」とコメントした。また、「現在、足首の具合は良好だ。大会期間中に(精神的に)苦しかった」と言って、妙な余韻を残した。
一緒に帰国した代表チームの金ギフン監督は、「イ・ジョンスが足首の痛みを訴えたので、最終エントリーから外し、連盟に報告した。外圧は絶対になかった。体育会の監査に対し、誠実に答弁する。誤解があったら、すぐ解けるはず」と、残念な気持ちを隠さなかった。
これについて、大韓体育界の関係者は、「選手やコーチングスタッフ、関係者らを呼んで、外圧があったかどうかなどを慎重に調べる」と伝えた。
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