三星(サムスン)重工業は6日、今年から15年にかけて、船舶建造におけるエコ技術の開発に約5000億ウォンを投入し、関連特許約1000件を獲得する計画だと明らかにした。これは同社が現在保有している有効特許1000件あまりと同様の規模である。これに関連し、三星重工業は最近、天然ガスで運航する「ガス推進船」の基本的な設計作業を終えた。
●ガス推進船の燃料費は従来船舶の約半分
ハ・ムングン三星重工業・造船海洋研究所・製品技術研究センター常務は、「設計関連技術やエンジンシステム関連技術、排気ガス処理技術の3大分野で、技術開発を行うことになるだろう」と言い、「船のスピードを減らさないまま、化石燃料をより少なめに使うことで、排気ガスから出る有害物質を削減するのがポイントだ」と説明した。
ハ常務は最近、ガス推進船の「概念設計」を完成し、ガス供給システム関連特許10件を確保したと付け加えた。天然ガスで運航するガス推進船を巡る概念設計は、あらゆる種類の船舶に適用することができ、重油を使用する従来の船舶より二酸化炭素は20〜25%、窒素化合物は90%、硫黄化合物99%以上減らすことができるという。
ガス推進船の建造価格は高価であるが、維持コストなどを考慮すれば、船会社にとっても経済的に有利なため、近いうちに実際に受注へと繋がる可能性が高いというのが造船業界の見方だ。三星重工業は、「12万トン級のタンカーを、ガス推進船として作れば、船の価格は7000万ドル(約800億ウォン)となり、従来の船舶より20%ほど高いが、現在の原油価格基準での燃料費は年間350万ドル(約40億ウォン)と、従来の船舶の半分程度に減ることになる」と主張した。ガス推進船を20年間運航すれば、新しい船舶1隻を買えるほどの金額を削減できるという意味だ。
国内のほかの造船会社各社も、エコ船舶技術の開発に拍車をかけている。現代(ヒョンデ)重工業は11年から適用される国際海事機関(IMO)の新しい窒素酸化物関連規制を満たせるエコ船舶エンジンを、世界で初めて開発し、先月から輸出を開始した。大宇(テウ)造船海洋は、世界的エンジンメーカーであるデンマークのマンディーゼル社と、今年末までに同出力のディーゼルエンジンより、二酸化炭素を23%少なめに排出するエコ船舶推進システムの試作品を作る計画だ。STX造船海洋も、天然ガスを使用するエコ船舶の概念設計を昨年9月に開発した。
●「ロブスターへの被害を避けるため、入港を拒否」
造船業界による「エコ船舶開発」は、各国で強化されつつある環境規制に対し、一歩先に対応しようとする狙いだと見られる。実際、環境汚染を招きかねない船舶に対し、作業許可を拒否する港湾都市が増えている上、IMOによる環境関連規制も次第に強化される見込みだ。
IMOは来年から新たに建造される船舶からの窒素酸化物の排出量を、従来の1キロ=17.0グラムから14.4グラムへと減らすよう、義務付けた。また、15年からは排気ガス中の硫黄酸化物の比率を0.1%へと下げた船だけが、バルト海や北海などの海上清浄区域を通過することができる。二酸化炭素関連規制は現在、まとめているところだ。
昨年5月、米カリフォルニア州は、有名船舶会社による液化天然ガスの船上再ガス化船(LNG−SRV)の就航を、計画段階から阻止した。船のせいで、周辺の海に生息するロブスターの数が減少する恐れがあるという理由からだった。LNG−SRVとは、運搬だけ行う従来のLNG船とは異なり、船上にLNGをガス化できる施設を備え、船上で陸地の需要先に直接ガスを供給する新概念の船舶である。
ガス化の過程で特に汚染物質を排出することはないが、熱源の役割をすることにより、周辺の海水温度が下がることが問題となった。米国やヨーロッパの各地の港が、最近、船に対して求めるエコ水準がどれぐらいかを伺わせるくだりである。
金ジンギ三星重工業・基本設計1チーム・パート長は、「停泊中の船上に降った雨水が、デッキの油に混ざって、再び海に落ちるのを恐れ、船に雨水の貯水タンクや油水分離機を備えるよう、要求する港もある」と伝えた。
造船業界の関係者は、「昨年開かれた世界最大の造船海運博覧会『ノルシッピング』でも、エコ船舶技術の展示が主流を成していた」とし、「経営環境がこのように劇的に変化する時、企業が関連技術を先取りできなければ、生き残り自体が難しくなるだろう」と指摘した。
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