14日(現地時間)、アイスランドのエイヤフィアトラヨークトル氷河の火山噴火による火山灰の影響で、欧州の主要空港に向かう空の便が、4日間全面的に閉鎖されている中、航空や旅行業界はもとより、貨物機で製品を輸出している電子業界など、国内産業界の被害も増大している。特に、噴火活動がいつ止まるか見当が付かないうえ、粉塵の被害が欧州東南部へと拡大されつつあり、欠航事態が長引きかねないと言う懸念の声が出ている。気象庁は、火山灰の雲は早ければ20、21日から韓国の上空にも影響を及ぼす可能性があると予測した。
●航空・旅行業界には非常事態
大韓(テハン)航空は18日も、仁川(インチョン)を出発して欧州に向かう旅客機7便や貨物機5便の計12便の航空便の運航が全面キャンセルとなった。アシアナ航空の欧州行き航空機3便も、全て欠航となった。今回の噴火以降16〜18日に、仁川と欧州を行き来する国内外の航空機は、旅客機58便と貨物機32便の計90便がキャンセルとなった。
仁川空港の床に毛布を敷いて2日間寝泊りしたと言うドイツ人のヤフン・ルーザーさん(41)は、「ドイツに行くつもりだったが足止めされている。妻と息子までが食事の代わりにハンバーガーを食べながら、運航の再開を待っている」と話した。
18日午後4時(韓国時間)現在、ドイツや英国、オランダ、ベルギー、スウェーデン、アイルランド、フィンランド、中・北欧諸国行きの飛行機運航が全面禁止となり、フランスやイタリア、ポーランド、ノルウェーなども、部分的に運航が統制されている。
大韓航空の関係者は、「火山灰の被害は、南欧やロシアへと拡大されており、閉鎖される空港も増え続けている」と語った。国連傘下の国際民間航空機関(ICAO)は、「今回の噴火による航空大乱は、01年の同時多発テロ以降よりも深刻だ」と明らかにした。
欧州航空の安全を担当している「ユーロコントロール」によると、17日(現地時間)、欧州内で運航が予定されていた約2万2000便の航空便のうち77%(1万7000便)が欠航となった。国際航空運送協会(IATA)は、今回の事態によるグローバル航空業界の損失額は、1日平均で少なくとも2億ドルを上回ると試算した。
欧州を往復する空の道が途絶え、旅行業界も被害を受けている。ハナツアーの関係者は、「欧州行き団体ツアー商品などを、3日間続けてキャンセルしている」とし、「1日平均200人あまりの客に、払い戻しや代替旅行商品を利用するよう、案内している」と伝えた。
●苦悩する電子・輸出業界
国内輸出メーカーによる欧州地域への物流支障も深刻化している。携帯電話や精密部品などは通常、鉄道や船ではなく航空機だけで輸出しているからだ。LG電子の関係者は、「物流担当者から、現地の状況は予想より深刻だと報告を受けている」とし、「事態の長期化に備えてタスクフォースの構成など会社を上げての対策作りに乗り出す予定だ」と話した。現在、三星(サムスン)電子やLG電子による携帯電話の輸出物量の中で欧州が占める割合は、全体の20〜30%に上る。
19〜23日にドイツで開かれる世界最大機械産業博覧会である「ハノーバー国際博覧会」も緊張が高まっている。KOTRA・ハンブルク貿易館の李スヨン課長は、「今のところ、今回の展示会の韓国館への参加企業37社のうち、到着した企業は2社だけだ」とし、「韓国製品のPRに困難が予想される」と語った。
産業界の一部では、最悪の場合、噴火による被害は数ヵ月以上続くだろうという見方も出ている。一方、今回の火山灰は、ジェット気流に乗って移動し、早ければ20日に韓半島の上空にも影響を及ぼすものと見られる。
気象庁・黄沙研究科の金スンボム研究官は、「火山灰のほとんどは、移動の間に地上に降り、国内での航空大乱は起きないだろう」とした上で、「弱い黄沙が発生したときと同様の様相を示すだろうが、火山灰の硫黄成分は人体に悪影響を及ぼしかねず、気をつけなければならない」と注意を呼びかけた。