原子力や宇宙開発は国力に支えられる国のみ取り組むことのできる巨大科学である。米国は24トンの貨物を載せ、国際宇宙ステーションまで往復するスペースシャトルを繰り返して打ち上げている。ロシアやフランス、日本、中国は、8〜18トンの貨物を、一度で低い軌道に打ち上げる宇宙発射体を持っている。羅老(ナロ)号は、100キロの衛星を打ち上げる宇宙発射体である。始まりは小さいとはいえ、韓国は宇宙開発のベスト10入りを目標としている。宇宙開発は、エネルギーや通信、軍事、放送、気象、海洋調査、天体観測のような分野で、国力を分ける未来産業だ。
◆羅老号は、本物の発射体の開発に向けた「練習用」だ。宇宙発射体の中核は1段ロケットだ。羅老号の打ち上げが成功してこそ、1.5トンの衛星を打ち上げる本物の宇宙発射体「KSLB−2」の開発に乗り出すことができる。今月5日に、全羅南道高興(チョルラナムド・コフン)の羅老宇宙センターに1弾ロケットを持ち込んだロシア側のセキュリティは物々しかった。1弾ロケットの運用や関連装備は全て、ロシアから持ち込んだ。ロシア人の技術者らは、関連資料の入っているコンピューター室への出入りの際ごとに、新たな封印を行った。全人数の20%がセキュリティ要員だ。我々の宇宙技術の不足によって味わわされる悲しさである。
◆宇宙への打ち上げは0.1%が失敗しても、全てが失敗したことになる。全ての装置が決まった時間に正確に作動してこそ、成功できる。昨年に打ち上げられた羅老号は、中間段階でフェアリング(衛星の蓋)が切り離されず、失敗した。失敗から学ぶ教訓は貴重である。閔庚宙(ミン・ギョンジュ)羅老宇宙センター長は、「ロシアの技術陣は我々を見下したが、今は、アンガラ宇宙発射体プロジェクトに我々も参加してほしいと提案を受けるまでになった」と語った。
◆宇宙開発の超大国である米国は、宇宙開発の予算が我々の180倍にのぼり、発射台だけでも20台を備えている。しかし、我々は蔚山(ウルサン)の砂原に造船所を建設し、短期間で世界トップの造船能力を備えた国ではないか。入梅前の6月初めに羅老号の2度目の打ち上げが行われる。2度目の打ち上げの成功に続き、本物の宇宙発射体に向けた1段液体ロケットの開発も成功することを願う。閔庚宙センタ長—の名前は、「星」の「庚」の字に「宇宙」の「宙」の字を使う。生まれつき、宇宙開発の運命を担っているような気がする。羅老宇宙センターの関係者らは最近、乾杯の音頭を「空へ」、「宇宙へ」と取ると言う。−全羅南道高興郡外羅老島から
李政勳(イ・ジョンフン)論説委員hoon@donga.com