14日に候補登録が締め切られた6・2地方選挙が、李明博(イ・ミョンバク)政府対盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府勢力間の対決構図になりつつある。16の市・道知事選の中で、ソウル、釜山(プサン)、大邱(テグ)、光州(クァンジュ)、京畿(キョンギ)、江原(カンウォン)、忠南(チュンナム)、慶北(キョンブク)、慶南(キョンナム)の9つの地域で、いわゆる「親盧」(親盧武鉉)の人々が野党候補に立った。与野党の選挙スローガンも、地方の活性化に向けた現実的な政策対決よりも、親盧と反盧の闘争のようになってしまった。
野党民主党は、07年大統領選挙と08年総選挙の惨敗後、党名を替えてニュー民主党プランを掲げた。その時は、政権奪取のために、失敗した盧武鉉政権のカラーを抜くことに奔走したが、最近は、再び盧武鉉党になってしまったようだ。昨年5月、盧前大統領の投身自殺を機に形成された追悼熱気に便乗して、急激に「親盧化」の道に進んだ民主党は、6・2地方選挙でも、未来型ビジョンと人物を前面に出して新しいアイデンティティを確立することに失敗した。
政党政治と責任政治の原理に反する候補一本化の曲芸を経て、「盧武鉉復古」を追求する人々に大挙出馬チケットを渡した。自ら掲げた公認革命のスローガンが無意味になった状況だ。京畿道知事候補の座を占めた柳時敏(ユ・シミン)氏は、過去、民主党は消えるべき反改革政党とさげすんだ人物だ。野党第一党が、政権奪取に向けてアイデンティティを確立する能力も意志もなく、ただ「盧風」に頼らざるを得ない限界を自ら認めたわけだ。
与党ハンナラ党が具体的な雇用と国民生活の政策の提示よりも、「失敗した盧武鉉政権への審判」といったアンチテーゼに依存する印象を与えるのは誤りだ。仮にも政府与党なら、単に「反盧勢力結集」や「左派復活阻止」ではなく、現実的な代案と未来のビジョンを提示して評価される一次元高い選挙文化を先導しなければならない。
6・2地方選挙は、グローバル化とローカル化が同時に進むグローカリゼーション時代に、地方政府を未来志向的にグレードアップするための国民的選択の場でなければならない。与党も野党も、国民の税金を使いながら国民生活を苦しめるポピュリズム政策で有権者を幻惑してはならない。国家の財政事情のことは考えず、ばらまき福祉政策を量産して経済危機に陥ったギリシャをはじめとする南欧国家が、後者の代表的な事例だ。
有権者も、「盧風」対「反盧風」という退えい的な政治ムードに振り回されず、どの候補が国家の利益と国民生活を実質的に潤沢にする働き手かを綿密に選び出す姿勢が求められる。真の主権者としての明哲な判断力を見せる時だ。