対北朝鮮心理戦の再開に対する北朝鮮の反発が激しい。韓国のマスコミは「準備のため、拡声器放送は2週間後、電光板の稼動は4〜5ヵ月後に可能になるようだ」「24日、軍は天気が悪化し、1日延期するとしたが、天気が良好だった26日は、なぜビラを散布しなかったのか」と、心理戦の再開時点に関心を集めている。一部の専門家は「対北心理戦はすでにスタートしてうまく行っている」と述べた。心理戦の再開宣言と、ビラを散布するとして延期すること自体が高度な心理戦だ。北朝鮮が「拡声器を設置すれば撃破射撃をする」「開城(ケソン)工業団地を閉鎖する」と反発しているのは、韓国の心理戦に見事に引っ掛かったという証拠だということだ。
◆「自由の声放送」も再開された。同放送は、北朝鮮が発信していた「救国の声」に対抗するためのもので、最近までも同放送があるということ自体が秘密だった。04年南北の合意で中止されるまで、同放送はKBS(韓国公共放送)の「韓民族放送」や、米国の「自由アジア放送」などとは一線を画すような心理戦を繰り広げた。甘美な声の女性アナウンサーが北朝鮮の住民たちが共感する素材について多用な解説を行った。中が腐っていく古木のように北朝鮮を中から崩壊させるように働きかけた。
◆心理戦は忍耐戦だ。北朝鮮が駆使する場当たり的な脅威に屈し、買いだめに走ったり、海外に出かける国民が増えれば、われわれが負けることになる。心理戦の中止に合意した04年は、韓国が逆転敗北を喫したケースだ。心理学博士として当時、心理戦チームを率いていた某二佐は「銃を一発も撃たずに北朝鮮が崩壊しかけていたのに、それこそ太陽政策で統一する道だったのに。まったく理解できない」と、心理戦中止に合意した盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権を批判し、転役した。
◆第2次世界大戦と韓国戦争の際の心理戦の手段は拡声器、ラジオ、ビラの3セットに限られていたが、今は心理戦に用いる手段はいくらでもある。北朝鮮が拡声器に向け、撃破射撃をすれば、拡声器に明るく笑う金正日(キム・ジョンイル)の写真をつけておく。しかし、銃撃でぼろぼろになった金正日の写真を載せたビラを製作し、北朝鮮に向けて散布するのだ。国内のすべてのマスコミが、総書記という肩書きを取り、金正日の名前のみを使うのも高度な心理戦になりうる。心理戦が統一の呼び水にもなりうる。ある日、北朝鮮で民衆蜂起が発生したという朗報が飛んでくるかもしれないのだ。
李政勲(イ・ジョンフン)論説委員hoon@donga.com