テレビドラマや映画で描かれている検事のイメージは二重的だ。不正を嫌い、巨大な悪や不正に立ち向かって戦う正義の使徒として描かれたり、力や権力の象徴、それを乱用する否定的な姿として映ったりもする。この50日間、世間を騒がせた検事スポンサーや隠蔽疑惑は、映画やテレビを通じてよいイメージを持っている多くの国民に失望を抱かせた。
昨日、真相究明委員会(究明委)の調査結果の発表によると、某部長検事は、慶尚南道(キョンサンナムド)地域の建設業者であるチョン某容疑者から性的接待を受けていた。某検事長級の人物は、現金100万ウォンを受け取ったし、多くの検事が食事や酒などの接待を受けていた。釜山(ブサン)地検などは組織的に、チョン容疑者からの苦情が寄せられたものの、上部に報告せず、黙殺するなど、隠蔽したことも確認された。
調査の結果は、当初、建設業者のチョン容疑者の衝撃的な主張に比べれば弱い方だ。究明委は、チョン容疑者の主張のほとんどは一貫性がなく、客観的な事実とも相反すると明らかにした。数十年間に渡る疑惑であり、物的証拠の確保など、究明にも限界があったという。しかし、明らかになったことだけでも、検事スポンサーと関連した中核的な疑惑は確認された。
事実、検察でのスポンサー文化は、公然とした秘密といわれるほど、根深い。近くは昨年、泰光(テグァン)実業の朴淵次(バク・ヨンチャ)会長から金を受け取った検事長が辞任に追い込まれ、千成𨛗(チョン・ソングァン)検察総長候補は、スポンサー問題のせいで候補から降ろされた。MBC番組「PD手帳」は一昨日、高級クラブのホステスや元検察内部の関係者などの証言を中心に、検察のもう一つのスポンサー疑惑を提起した。全てを信じるのは難しいが、火のないところに煙は立たないだろう。
検事は公益の代表者だ。不正や不法を行った人を捜査するためには、検事自らが高い道徳性や倫理性を備えなければならない。自分はもとより、周辺の管理にも徹底を期すべき理由だ。検事が高級クラブなどに出入りし始めれば、給料だけでは間に合わず、スポンサーを持たざるを得ない。現在、検察が持っている過度な権限そのものも問題だが、スポンサーと癒着し、法律や原則に則ることなく、権限を恣意的かつ変則的に行使することになれば、さらに大きな問題である。
究明委は、類似事態の再発防止に向け、検察文化の改善や検察の自浄機能の強化を勧告した。必要なら、制度であれ意識であれ文化であれ、変えられるものは全て変えなければならない。検察がしっかりしなければ、検察のみ崩れるのではなく、国の紀綱を立て直すこともできない。