宗教界のある元老は、「李承晩(イ・スンマン)大統領が終戦を試みる米国に立ち向い、反共捕虜を解放したほどの勇気を、李明博(イ・ミョンバク)大統領が持っていなければ、国政で失敗せざるを得ない」と話した。同元老は、6.2統一地方選挙の結果を巡り、「(李明博政権は)内部で、権力争いばかりをやっている。日和見主義者だけ集まり、その都度、急場しのぎだけしようとする」とし、「李大統領が様変わりしない限り、回復は不可能だろう」と叱咤した。
過去の政府で、大統領首席秘書官や長官を務めたある人物も、「選挙に負けても、なぜ負けたのか、明確に認識していないようだ」と話した。与党の敗北という明確な李明博政権の中間成績表が出てから、11日過ぎているのに、李大統領は、憤っている国民に対し、具体的な解決作を示せずにいる。
与党ハンナラ党から連日求められている人的や国政刷新の要求に対しても、大統領府はもうしばらく様子を見ようとしている。参謀らはおそらく、ハンナラ党の党大会や7.28再選や補欠選挙の結果も見守るべきであり、まだ、大統領の出る幕ではないと報告したかもしれない。大掛かりな事故が起きたのに、何事もなかったかのように、知らん振りをしているように見受けられる。
李明博政府は、これから2ヵ月ぐらい経てば、任期の折り返し点になる。李大統領が、選挙敗北後、初めて口にしたのが、「経済にまい進するつもりだ」という言葉だった。「選挙結果について反省する」という言葉もあったが、その後の動きを見れば、切迫さは感じられない。
経済であれ、安保であれ、しっかり推進力を発揮するためには、国民のエネルギーを集中させる求心力も確保されなければならない。李大統領は、そのような意味で、最も責任が重い政治家だ。誰よりも先に李大統領が全面に出て、政局の収集に乗り出さなければならない理由でもある。
ハンナラ党の新人議員らは昨日、再選挙・補欠選挙の前に、大統領秘書官の人事や国政運営システムの改善、水平的な党と大統領府との関係樹立、世宗市(セジョンシ)や主要4河川事業を巡る国民の意見の積極的な受け入れなどを含めた、6項目の刷新案を要求する連判状を回した。民主党の朴智元(バク・ジウォン)院内代表も、「人事が遅れれば遅れるほど、副作用や混乱だけを増大するだけだ」とし、「大統領が好んで使う言葉のように、電光石火のごとく、早い人的刷新を行うべきだ」と要求した。
進むべき方向はすでに出ている。世宗市矢4河川事業などを推進する過程で見せた、李明博政権のコミュニケーション不足や幅広く有能な人材を求めることのできない側近や縁故中心の閉鎖的な人事を打破すべきだという。大統領府や政府、ハンナラ党がすべて人的刷新の対象だが、その中の「1番」は、大統領府となるべきだ。反対勢力に足を引っ張られ、国政が票流し、うまくいくことなどない政府になれば、李大統領個人の問題に止まらず、国の不幸となるだろう。