検察は全国の現場の検察庁に対し、9人の市民で構成された「検察市民委員会(市民委)」を直ちに設置し、主要事件を巡る起訴や不起訴決定の審議権を与えることを決めた。また、高官による不正腐敗事件などの主要事件では一般市民が、起訴するかどうかの決定に参加する米国流大陪審制度の導入を推進することにした。これは1954年、刑事訴訟法が制定された後、続いてきた検察の起訴独占権を自ら手放すことを意味し、現在の司法体系に大きな変化が予想される。
最高検察庁は11日午前、全国の検察官が参加するテレビ会議を開き、このような内容などを盛り込んだ検察改革案を確定し、発表した。金鑭圭(キム・ジュンギュ)検察総長は同日の会議に先立って、国民向け謝罪文を発表し、「検察は国民の期待に沿うことができず、ご心配をおかけし、申し訳ない」と言い、「いまや検察は、旧態依然な姿を捨て、新たに生まれ変わるつもりだ」と誓った。
●重要事件の起訴の是非の決定に市民が参加
同日発表した改革案の柱である市民委が、社会各界からの推薦を受けた市民9人で構成されれば、検察は同制度を直ちに実施する方針だ。同改革案によると、検事は、△高官や政治家の金品授受などの不正腐敗事件や、△大掛かりな金融・経済犯罪、△社会的な関心が甚大だったり、委員会による審議が必要だと判断される場合、市民委に対し、起訴や不起訴処分を下す前に審議を要請することができる。市民委は、起訴または不起訴が適正するかどうかについて意見を出すことができ、検事は市民委からの意見を最大限尊重しなければならない。
市民委の評決に法的拘束力を与えるため、起訴陪審制度の立法も推進される。検察は陪審制度が定着されるためには、裁判段階でも有罪や無罪を巡る評決権限を陪審団が持つ裁判陪審制度が一緒に導入されるべきだと見ている。これは、大陸法体系を柱として作られた韓国司法体系に英米流陪審制度が全面的に導入されることを意味する。
しかし、法曹界では、市民委の設置は起訴独占権の緩和とは程遠いという指摘も出ている。ソウル地域の判事は、「検察内部に設置された委員会が、捜査を担当する検事の説明だけ聞いて下す起訴の是非を巡る決定が、中立的であるはずがない」とし、「検事が必要だと判断する時だけ、審議を要請するようにした運営方式にも問題がある」と話した。
起訴陪審と裁判陪審との導入を結びつけるべきだという案については、違憲だという議論も持ち上がっている。裁判所が裁判権を持っている米国とは異なって、我が憲法は裁判権を、「裁判所」ではなく「裁判官」に与えており、陪審員団による評決が法的拘束力を持つためには、憲法を改正しなければならないという。
●金品・供用を受ければ代価性がなくても処罰
改革対策には、検察による自主的監察に、市民参加を保障する内容も含まれている。監察業務を総括する監察委員会は、検察業務についての理解を手助けするための検察委員1人を除いた残りの全員を、外部人物に委嘱することにした。
監察組織も、従来の最高検察庁の監察部の代わりに、検察総長の直属として監察本部を格上げし、2年間の任期が保障される本部長は、外部人物に任せることにした。監察本部には従来の監察人材の2倍程度を配置し、全国5つの高検に支部を設置する計画だ。監察方式も、苦情や情報提供による「事後の調査監察」から、検事や捜査官を巡る内密監察など、「平素の動向監察」へと転換される。
検事が起こした犯罪は、監察委員会の要請を受け、検察総長が指名する「特認検事」に任せることを決めた。特認検事は、検察総長から指揮を受けず、独立的に捜査や起訴の是非を決定することになる。そのほかにも、△犯罪予防委員協議会との関係の打ち切りや、△検事、捜査官は頼みごとを受けなくても、金品や供用を受ければ厳しく処罰し、△「爆弾酒をまわす」文化の撤廃などが改革案に盛り込まれた。
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