00年6月13日、北朝鮮から「南に送られた」2匹の犬がいる。金正日(キム・ジョンイル)総書記が南北首脳会談を記念し、故金大中(キム・デジュン)元大統領にプレゼントした豊山(プンサン)犬の「ウリィ」(雄)と「ドゥリ」(雌)夫婦だ。北朝鮮にいるときはそれぞれ、「自主」と「団結」と呼ばれたが、金元大統領が、「韓国と北朝鮮が和解や協力に向け、協力することを願う」という意味から、新たに名前をつけた。
韓国に来てから5ヵ月間、大統領府で暮らしたウリィとドゥリは同年11月、京畿果川市(キョンギ・グァチョンシ)のソウル動物園に住処を移した。しかし、待遇が変わったわけではない。南北間の友好のシンボルだけに、10年間、この夫婦には「首脳級」の国賓としての待遇が続いている。
普通は放し飼い場の柵の中に入れられたまま、入場客を迎える一般動物とは違って、ウリィとドゥリは担当飼育士と共に、自由に遊んでいる。毎日午前と午後の2度に渡り、公園内を散歩しながら、ストレスを解消している。
泊まる場所も特別だ。専用ルームの入り口には、夫婦写真の入った看板がぶら下がっている。室内には、小さな池までついた庭や、雨や雪を避けられる快適な内部スペースが設けられている。
餌も特別飼料だけを食べる。普通は育成犬の飼料を食べる動物園内のほかの犬らとは違って、この犬らは、大統領府時代から食べていた高級飼料を、別途購入して食べている。食事ごとに、消化運動を手助けするため、消化剤も入っている。一緒に暮らす珍島(チンド)犬やむく毛の犬らにとっては夢のような話だ。
最初、韓国に来た時は生まれて2ヵ月のかわいい子犬だったが、いまや10歳となっている。人で言えば、80歳を超えた高齢である。まぶしいほど真っ白だった毛並みには、いつの間にか、黄色い毛が混じり始めている。
元気がなく、食べ物を噛むのもままならないドゥリは、やさしい夫が口で噛み砕いてくれる餌を食べる。仲のよいウリィとドゥリはこれまで、15匹の子犬を産んだ。ソウル動物園が1999年、「南北間の野生動物交流事業」のため、北朝鮮の平壤(ピョンヤン)動物園から受け取った4匹との間で生まれた子犬まで含めれば、計75頭に上る。
この北朝鮮生まれの豊山犬の2世らは、地方の観客のために、清州(チョンジュ)や大田(テジョン)、大邱(テグ)、済州(チェジュ)、光州(クァンジュ)、晉州(チンジュ)の全国6つの動物園に引き渡された。
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