鄭雲燦(チョン・ウンチャン)首相が30日、世宗市修正案の国会否決に関連して、「責任を負うことに対しては、責任を負う」と述べた。鄭首相は、昨年9月3日に首相に指名された日から政府省庁を分割移転する世宗(セジョン)市原案の非効率性と修正案の必要性を提起し、「世宗市首相」と呼ばれた。修正案が挫折した責任を鄭首相にだけ負わせることはできない。首相の力で忠清(チュンチョン)圏の住民を説得し、慮武鉉(ノ・ムヒョン)政府と政界のポピュリズムが結合した誤りを是正するには限界がある。そうだとしても、鄭首相が国家百年の大計を掲げ、政治生命を賭けて先頭に立った国家の主要政策が国会で拒否された状況で、鄭首相が残り続けることは、責任政治という面でも立法府を尊重するという意味でも望ましくない。
8月で任期の折返し地点をまわる李明博(イ・ミョンバク)政権は、世宗市の否決過程で露出した与党の分裂で、事実上、「与小野大」という奇形的な政治構造を抱えて国政を運営していかなければならない立場だ。李大統領の核心政策を積極的に後押しする院内勢力が100議席あまりにすぎない状態で、経済再生や雇用創出、北朝鮮の安保脅威への対処など、山積した国政懸案を解決していくために政界の協力が切実な状況だ。14日に予定されたハンナラ党全党大会が与党刷新の端緒になり得るだろうが、内閣と大統領府が世論を反映して大幅に容貌を一新しなくては、国民の信頼回復と国政の推進力の回復は不可能に近い。
与党の一部では、首相の交代と全面的な内閣改造で再び聴聞会政局が始まり、ただでさえ苦しい政府がダメージを受けるという憂慮の声もなくはない。そのような消極的な防御的発想では難局を突破することは難しい。能力があり信望のある人々を起用し、感動を与え、国政に新しい風を吹き込んでこそ、国民の信頼を取り戻すことができる。
6・2地方選挙と世宗市法否決の事態は、ハンナラ党と内閣、そして大統領府に蔓延した安易な現実認識と対応能力不足を如実に表わした。すでに辞意を表明した鄭正佶(チョン・ジョンギル)大統領室長のほかに、主務首席秘書官らも責任を負う姿勢を示すことで、早期の国政の収拾に力を与えるのが参謀の道理だ。今、与党では、昨今の国政危機に対して責任を負うべき人々が知らん振りをし、新しい地位を求めて牽制する権力暗闘の様相まで現われている。無自覚に権力の甘い汁を吸おうという人々は、一日も早く索出されなければならない。与党の一大刷新を先送りにすればするほど、国政の危機が深まり、国民離れが加速化するだろう。