14日に選出された安商守(アン・サンス)代表最高委員と洪準杓(ホン・ジュンピョ)、羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)、鄭斗彦(チョン・ドゥオン)、徐秉洙(ソ・ビョンス)最高委員は、ハンナラ党の指導部として12年7月までの2年間、政権与党の船長と操舵手の役を担う。新指導部は、李明博(イ・ミョンバク)大統領とともに政権後半を導き、12年にある総選挙と大統領選の党内選挙戦も管理しなければならない。現政権の成功的な締めくくりと次期政権の創出という二兎を同時に追わなければならない重大な責務が、新指導部の肩にのしかかっているわけだ。この点で、ハンナラ党代表と最高委員という職責が、栄光にも頸木にもなり得る。
ハンナラ党が直面した現実を見ると、新指導部の前途は決して順調ではなさそうだ。ハンナラ党は、政府与党として、それに見合った任務を全うすることができなかった。国会過半数の議席を保有しても、野党に振り回され、国政を主導できなかった。政府と国民間の世論を伝達する疎通の通路は、いつも詰まっていたようなものだった。一つ屋根の下で暮らしながら、親李(親李明博)、親朴(親朴槿恵)に分かれ、争いが絶えなかった。国政を担う勢力として、何かを成し遂げるという透徹した天命意識も、熾烈な集団意志もなかった。「セレブ政党」「草食政党」「ツーナラ党」という言葉は、決して意味なく出てきたのではない。まず、指導部の党内選での泥沼化によって生じた不和と心の傷を治癒し、党の体質を刷新する作業を始めなければならない。
6・2地方選挙後、この1ヵ月間、非常対策委に参加した李秉錫(イ・ビョンソク)議員は、ハンナラ党が「高句麗に敗れ、薩水を渡る隋の軍隊に似ている」と酷評した。李議員は、「秩序もなく、同志愛もなく、(野党に対する)反撃もなかった。ただ同志の背を踏んで川を渡ろうとする不純な企図があるだけだ」と述べた。最近では、親李勢力間の権力闘争説で、ハンナラ党が「一つ屋根の三家族」と皮肉られている。このような様子では、ハンナラ党が国民の信頼を得て、国政の推進動力を再充電し、理念や地域、世代の対立を解消して社会統合をなすことはできない。
東亜(トンア)日報の「ハンナラ党代議員アンケート調査の結果」によると、代議員は、新指導部の最大の課題として、親李—親朴系の和合、党—政府—大統領府の関係の再確立、中産層と庶民のための政策を提示、若年層との疎通強化を挙げた。政権再創出のための急務は、派閥の統合、既得権、金持ち、老衰といった否定的なイメージの払拭、新しい大統領選候補群の発掘、保守大連合を提示した。与党の危機の要因としては、第一に与党内の分裂を、第二に指導力や政治力の不足を挙げた。李明博政権の後半の国政目標に代議員の絶対多数が挙げたのは、経済の建て直しだった。一般国民の考えも、これと大きく違わないだろう。
何よりも、「党内の手続き的民主主義の確立」が新指導部に課された重大な課題だ。国会議員の候補を決める公認ルール、大統領候補を選ぶ党内選ルールを、党内のすべての派閥と候補者が承服できるよう作成しなければならない。党内の意志決定方法も、透明で民主的に変わらなければならない。公職候補が公正なルールに基づいて選ばれなくなれば、過去の例でみられるように、内部の不信と対立が深まり、結局、党を病ませることになる。候補の競争力も弱くならざるを得ない。昨今の親李—親朴間の反目と対立も考えてみれば、そこに根を見つけることができる。
政党の先進化、さらに政治の先進化に向けても、手続き的民主主義の完成が必要だ。公職候補の選出と意志決定プロセスが、誰も文句がつけられないほど透明で民主的なら、国会の運営も、政治と国政を見つめる国民の認識も、今とは大きく変わるだろう。ハンナラ党の新指導部の奮起を期待する。