不動産市場の低迷の後遺症が膨らみ、政府も対策作りに苦心している。李明博(イ・ミョンバク)大統領は先月、非常経済対策会議の席で、「不動産実需要者の取引を巡る不便を解消してほしい」と指示した。これを受け、企画財政部や国土海洋部、金融委員会は、従来の4.23対策を補完するレベルで、取引活性化に向けた追加対策をまとめ、今月中に出す計画だ。
まず、4.23対策では、「専用面積85平方メートル以下」と「6億ウォン以下」という条件を共に満足させた場合にのみ、貸し出し規制を緩和するとしていたものを、2つのうち1つだけを満たせば認める案の検討が有力視されている。貸し出し規制緩和は、既存の住宅が売れず、新たに購入した住宅に入居できずにいる人の既存の住宅を購入する無住宅者あるいは住宅1戸所有者に対し、融資を支援したり、総負債返済比率(DTI)限度の超過分を、住宅金融公社が保証するのが主要柱となっている。
また、年末までに期限付きで、国民住宅基金のうち、1兆ウォンの範囲内で住宅購入資金を、1世帯当たり最高2億ウォンまで融資することを決めたのとは別に、同基金から家賃を支援する案も検討している。この程度の対策では効果は大きくないだろうと見込んで、住宅担保認定比率(LTV)やDTIを緩和すべきだと言う声も出ているが、まだ、政府内では共感を得ていないのが現状だ。
不動産専門家らはなによりも、行き詰まっている取引を再開させるきっかけを作る必要があると強調している。価格安定を誘導しながら、実需要者らが簡単に売買できるように、きめ細かな政策を展開してこそ、不動産市場のマヒ状態が解消されるという。
それに向け、LTVやDTIなどの金融規制を弾力的に緩和すべきだと言う意見も出ている。建国(コングク)大学・不動産大学院の孫在英(ソン・ジェヨン)教授は、「現在、江南(カンナム)地域の住宅価格を安定させる目的のDTI規制を巡り、緩和が必要だ」と言い、「一律的な規制よりは、返済能力や住宅価格の行方、不良可能性などを計算し、差を持って適用すべきだ」と主張した。漢城(ハンソン)大学・不動産学科の李龍萬(イ・ヨンマン)教授は、「DTIには手をつけず、現在、やや低いLTVのみ高める柔軟な対応が必要だ」と語った。
一方、中途半端な金融規制の緩和は、別の副作用を招きかねないという反論も根強い。金ソンドク・建設産業戦略研究所所長は、「住宅市場だけを考慮し、DTI規制を緩和してはならない」と主張し、「取引を活性化させるために、無理に金融規制を緩和すれば、効果が現れるまで時間がかかるので、ややすれば、もう一つの価格上昇の原因になりかねない」と指摘した。
貸し出し規制を除いたほかの規制は、果敢に緩和すべきだという意見が多い。
三星(サムスン)経済研究所の朴ジェリョン首席研究員は、「特に、税金が取引に及ぼす影響が大きいため、今年末で期限切れとなる『多住宅保有者の譲渡税重課の緩和制』の延長を検討する必要がある」と言い、「再建築の活性化に向け、分譲価格の上限制廃止も考慮すべきだ」と話した。李龍萬教授は、「ポグムチャリ住宅(公共が建てる中小型分譲住宅と賃貸住宅を包括する新しい形態の住宅)の場合、政策そのものは悪くないが、民間が競争から排除され、市場で逆差別を受けることもありうるため、供給方式を調整する必要がある」と主張した。
根本的な解決策は、景気回復という指摘も出ている。金所長は、「景気が復活、経済環境が安定すれば、不動産取引は自然に増えるだろう」と語り、「政府でできる方法は、不動産価格がこれ以上上がらないようにしながら、早いテンポで所得を増加させ、階層間二極化が悪化されないようにすることだ」と強調した。
redfoot@donga.com