●外国人監督を好む事大主義的な雰囲気が強い
「私がベスト16入りを果たしたとして、後任の監督候補らがプレッシャーを感じて(監督を)やろうとしないという話を聞きました。しかし、それは間違っています。大韓サッカー協会やファンも今やベスト8入り以上を要請する時期に来ています。韓国サッカーはもう国際舞台でいつでもベスト16入りを達成できる実力を備えています。するとしたら、目標はさらに高く据えなければなりません」
許丁茂(ホ・ジョンム)代表チーム監督は、目標を高く設定せねばならないと言って、次期監督はその宿命を受け入れるべきだと話した。彼は、「国内の監督に機会を与えるとしたら、一部では外国人監督を起用しなければならないのではないかという主張をした。しかし、外国人か国内監督かが重要ではなく、今後、韓国サッカーをどのように導いていくかを先に決めて、それに相応する監督を探さなければならない」と話した。さらに、「実際、これまで外国人監督を頭ごなしに好む事大主義的な雰囲気が強かった。韓国にも優秀な指導者が多い」とし、「韓国サッカーのため、持続的な世代交代をしていかなければならない。外国人監督は成績にこだわって、これをないがしろにする傾向がある」と付け加えた。
同氏は、02年韓日ワールドカップ(W杯)ベスト4入りの主役、フース・ヒディンク監督を除いたら、韓国サッカーに大きくプラスになった外国人監督はいないと評した。ウンベルト・コエリョ、ヨハネス・ボンフレール、ディック・アドフォカート、ピム・ファーベーク監督らは成績にこだわりすぎて、代表チームをきちんと指導できなかったと話した。
●「有望株には楽しさを感じさせるサッカーをしよう」
「W杯を行いながら、うちの選手らが子どもの時から基本技を徹底的に磨いていたら、さらに良い成績が挙げれたのにという考えをしました。韓国サッカーが国際舞台で競争力が高くなったのは事実ですが、まだまだ2%が足りないです。それが他ならぬテクニックです。テクニックは子どもの時に完成します。有望株に成績を強要する雰囲気を変えて、サッカーを楽しんでもらわないといけません」
許監督は骨盤の柔軟性を強調した。アルゼンチンのリオネル・メッシが全力でドリブルしながら90度に1〜2回ぐらい完全に折り、再び自然にドリブルできるのが骨盤の柔軟性のおかげだそうだ。「骨盤の柔軟性は子どもの時に完成します。楽しんでもらいながらテクニックを教えると、骨盤の柔軟性を育てることができます。しかし、成績にこだわりすぎて厳しい練習ばかりさせると、骨盤が硬くなってしまうんです。韓国選手らに創造的なプレーができない原因です」
●W杯16強入りは意思疎通の賜物
「08年10月、主将だった金南一(キム・ナムイル)を代表チームから外したため、新しい主将を選ばなければならなくなりました。私は、朴智星(パク・ジソン)を念頭に置いてコーチらに聞いてみました。コーチらは李栄杓(イ・ヨンピョ)を薦めたんです。でも、私は朴智星が主将をやると、チームがうまくいきそうだと話しました」
許監督は当時、李雲在(イ・ウンジェ)、李栄杓、廉基勳(ヨム・ギフン)、李正秀(イ・ジョンス)、朴智星らベテラン選手を呼び集めて、「新しい主将は李栄杓がやったらどうか」と聞いてみたんだそうだ。すると、李栄杓が本気になって「私は駄目です。朴智星にやらせてください」と言った。他の選手らもみんな「その通りです。朴智星が適任者です」と言い出したので、自然と朴智星に主将の腕章を付けさせることができた。
許監督は、「朴智星は責任感が強い。最初のプレミアリーガーだが、いつも率先垂範するので、後輩らが慕う。李雲在らベテランも朴智星のことを信頼する。主将として適任者だった」と話した。彼は、「朴智星の力になってもらいたくて、金南一、安貞桓(アン・ジョンファン)ら02年W杯メンバーらも選んだ。ベテランたちが後ろで支えてあげたから、朴智星も所信を持って行動した」と伝えた。そして、重要な試合の時は、先発のラインアップについても意見を聞いた。許監督は、「ベスト16入りの原動力をあえて探すとしたら、こうやって選手らと疎通を図ったことだ」と話した。
●「ゴルフ、囲碁、ビリヤードはストレス発散に最高」
許監督のゴルフスコアは偏差が大きい。彼は13日には92個を打った。数日前は78個を記録した。彼は、「サッカーや囲碁、ビリヤードは勝負欲が沸いてくるのだが、ゴルフはどうしてか分からない。ただ楽しくボールを打つのが好きだ」と話した。許監督のドライバーの飛距離は300ヤードを越える。そこそこのパー4ではワンオンを記録する場合も多い。しかし、あまりにも長打であるため、OBも多い。スコアの偏差が大きいわけだ。
許監督は囲碁はアマ4段だ。ビリヤードは300点。彼は、「大学以降、ビリヤードをやめていたが、最近、友達らと会ってたまにやってみたら、ストレス発散に役立った。ビリヤード、囲碁、ゴルフは、チームを指導しながら私がストレスを解消する窓口だった」と話した。許監督は、囲碁からサッカーを学ぶと言う。「相手が強いところへ攻め込むな」「全体の形勢を考慮せよ」などは、サッカーでも必ず守らなければならない法則だそうだ。
最近、イ・ヨンギュ牧師の「さらに降ろしておく」という本を読んだ許監督は、マイケル・フランゼーゼの「私はあなたが絶対に断れない条件を提示することができる」という本を読み始めた。頑固な「珍島(チンド)犬」のイメージから脱し、疎通を通じたやわらかいカリスマへ変身して史上初の遠征ベスト16入りを果たした背景には読書も一役買った。許監督は、「とりあえずゆっくり休んだ後、チャンスがあったら、Kリーグのチームを受け持って優勝したい」と話した。
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