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[社説]脱北の元韓国軍捕虜を北朝鮮に送還した中国に沈黙する政府

[社説]脱北の元韓国軍捕虜を北朝鮮に送還した中国に沈黙する政府

Posted July. 27, 2010 08:36,   

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元韓国軍捕虜のチョン・サンウン氏(81)は、半世紀以上、北朝鮮の共産治下で苦しみ、昨年12月に中国へ脱出した。高齢な上、健康状態も良くなかったが、夢に描いた家族との再会に向け、冷たい豆満江(トゥマンガン)に飛び込んだ。3日後、隠れ場所に中国公安が押しかけ、チョン氏の短い自由は終わった。他国で抑留者となったチョン氏が、ついに北朝鮮へ強制送還されたことが、最近確認された。中国政府の非人道的な処置と韓国政府の外交的無能が、元国軍捕虜を再び「死地」に追いやった。

元韓国軍捕虜を含め、送還された脱北者が北朝鮮で生き残る可能性はほとんどない。北朝鮮は今月16日、両江道(ヤンガンド)の恵山(ヘサン)飛行場で、送還脱北者3人を公開処刑したと、脱北者学術団体NK知識人連帯が26日、伝えた。05年に苦難の末、中国に脱北した元国軍捕虜のハン・マンテク氏(当時72歳)は、北朝鮮へ送還後、強制収用所に送られた。高血圧の上、左半身麻痺のため、行動が不自由なチョン氏に、収容所送りは死刑宣告も同然だ。

政府は、チョン氏の問題で中国と数回接触したと言うが、チョン氏の北朝鮮送還を防ぐことができず、抗議すらできなかった。中国の善意に期待する「静かな外交」は、事実上「無能な外交」の別名だった。公に中国の協力を要請し、元国軍捕虜の北朝鮮送還が、どれほど非人道的な処置なのか、国際的に知らしめる積極的な外交をなぜできないのか。脱北国軍捕虜の北朝鮮送還は、国連が採択した人権に関する世界宣言と戦争捕虜に関するジュネーブ条約に反する。中国は、国連加盟国であり、ジュネーブ条約加盟国として、人類普遍の価値である人権を保護する義務がある。

中国は、韓国の領海と公海で実施される韓米合同軍事演習に反対する内政干渉を公然と行っている。にもかかわらず、大統領府は、チョン氏を北朝鮮へ送還した中国への抗議に反対したという。中国の気に障ることがそんなにも恐ろしいのか。余生わずかな元国軍捕虜が、卑怯な対中外交の犠牲者になった。国家は何のために存在するのか。大統領府当局者には、国民の安危よりも対外関係の平安がより重要な基準なのか。

韓国戦争時、北朝鮮に捕えられた元国軍捕虜は、政府が必ず帰国させなければならない人たちだ。米国は、1世紀が経った第一次世界大戦の戦死者の遺体まで捜し出し、遺族のもとに戻ることができるよう最善を尽くす。560人余りの国元軍捕虜が北朝鮮に生存していると推定しながら、これまで一人の脱北者も帰国させることができない政府が、何のグローバルリーダーシップを云々するのか。