リビア政府が先月、国家情報院(国情院)所属の駐リビア韓国大使館職員の情報収集活動を問題視し、同職員を韓国に追放したことが明らかになった。
外交筋は27日、「リビア政府が、北朝鮮情報や防衛産業協力の情報を収集していた駐リビア韓国大使館の国情院職員がリビア国家の安全保障に危害を加えたという理由で、先月初め、同職員を拘禁・調査し、同月15日、『ペルソナ・ノン・グラータ(persona non grata=好ましからざる人物)』として通知し、3日後の18日、韓国に追放した」と明らかにした。韓国の外交官が「好ましからざる人物」として追放されたのは、98年7月の韓国とロシア双方の外交官追放事件に続き2度目だ。
別の消息筋によると、同職員がリビアの建設工事の情報を得るために現地の情報要員(IO=Intelligence Officer)に金を渡すところが写真に撮られたことが、追放事件の発端になったという。この事実がリビア政府に報告され、韓国がリビアで施工中の工事がすべて中断する事態が発生したという。
駐韓リビア経済代表部が先月23日、突然、領事業務を中断したのも、このためのようだ。ある消息筋は、「リビアのカダフィ大佐が関連事実の報告を受けて憤り、韓国と国交を断てと言ったようだ」と伝えた。
政府は先週、情報当局の代表団をリビアに派遣し、同職員の情報活動は通常の活動であり、リビア当局が誤解をしていると説明し、リビア側の反応を待っている。代表団は、協議が円満に終われば、今月末に帰国する予定だ。政府当局者は27日、「今回のことが両国関係に否定的な影響を及ぼさないよう留意しており、事態が早期に円満に解決されるよう最善の努力をする」と明らかにした。
これに関連して、李明博(イ・ミョンバク)大統領の実兄の李相得(イ・サンドク)ハンナラ党議員が6〜13日、大統領特使の資格でリビアを訪問したが、最高指導者カダフィ大佐に会うことができなかった。李議員はその代わりにマフムーディ首相に会ったが、マフムーディ首相は、カダフィ大佐に関連した韓国メディアの過去の否定的な報道内容を見せ、「リビアは多くのインフラ建設を韓国に与えているが、こんなことがあっていいのか」と興奮したという。李議員は、マフムーディ首相に4度会って、リビア内の韓国企業の工事が再開することになったという。
ある消息筋は、「リビア当局が、現金の受け渡しの場面を捉えたことを理由に、国情院職員が単純に工事関連の情報を得ようとしたという韓国政府の説明を信じようとしなかった。工事関連の情報以上の機密事項を探ろうとしていると誤解している」と伝えた。
これに関連して、アラブのメディアは、韓国外交官がカダフィ大佐と息子やリビア政府要人に対するスパイ活動をしたと、リビア政府が問題提起していると報じた。また、このようなスパイ活動が、韓国政府のためのものだったのか、「他国」のためのものだったのかを調べていると伝えた。
これについて外交筋は、「根拠のない記事」とし、「情報活動の目的について、リビアと意見の相違があるだけだ」と話した。同消息筋は、「韓国は30年間、リビアとの関係を維持してきた。リビアの国益に反する行為をする理由がない。誤解が解ければ、駐韓リビア代表部の領事業務も再開されるだろう」と話した。
いっぽう、リビア当局は、最近逮捕した宣教師・コ某氏と現地の韓国人農場経営者チュ某氏の事件を宗教法違反の問題と見ており、国情院職員の情報活動問題とは別の事件と考えていると、外交消息筋は伝えた。
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