Go to contents

キコ訴訟3年目、誰に有利だろうか

Posted August. 21, 2010 07:38,   

한국어

金融監督院(金監院)が為替リスクの回避商品である「キコ(KIKO)」を販売した銀行の役員や行員への処分を決めたことを受け、3年目を迎えるキコを巡る争いが新たな転機を迎えるかどうかに注目が集まっている。

08年6月、被害企業が、「キコを巡る契約は不当だ」として、公正取引委員会(公取委)に対し、キコ商品の約款審査を請求したことから始まった争いは、その後訴訟へとつながり、現在、118社が法廷で争っている。このうち、唯一にスサン重工業が韓国シティ銀行やウリィ銀行を相手に起こした訴訟で、2月敗訴し、公取委への約款審査請求もこれに先立って却下された。これを巡り、金融業界は公取委や裁判所がキコ商品や販売過程には問題ないと判断したと受け止めた。

しかし、キコの販売過程で初めて銀行の過ちを認めた金監院の制裁結果が出たことを受け、訴訟の判決を待っている被害企業各社は、この決定が判決に有利に働くのではないかと期待を寄せているのが現状だ。ただ、金監院は、裁判所の判決に影響を与えかねない中核的焦点は全て避けており、「銀行に免罪符を与えたのでは」という批判も出ている。

●規定を違反した一部の銀行を処分対象から外す

金監院は19日、制裁審議委員会を開き、9銀行の役員や行員72人対し、集団で処分を下した。08年8月から昨年2月にかけて、3度に渡り、都市銀行に対して調査を行った金監院は、これらの銀行がキコの販売過程で、一部の規定を違反したことを摘発した。

これらの銀行が中小企業とキコ契約を交わし、予想輸出入規模以上に過度にキコ商品を販売(オーバーヘッジ)したり、従来のキコ契約によって企業がこうむった損失を清算せず、これを新規のキコ契約に移転させる「損失移転取引」を行ったという。

キコとは、為替相場が予め約定した区間で動けば、加入企業は得をすることになるが、上限を上回ればかえって損をする通貨オプション商品。多くの企業は為替相場が下落することを見込んで、輸出規模を超過し、キコに加入したが、08年、為替相場が高騰し、大損をした。

しかし、金監院は今回の処分で、過度な規模の契約を交わしたり、損失移転の取引を行った一部の銀行を、処分対象から外し、議論を呼んでいる。輸出予想額の125%を上回るキコ契約は規定違反だと指摘しながらも、金監院による検査過程で合理的な超過契約の理由を示した銀行は全て、処分対象から外した。

金監院が08年7月以降に発生した損失移転取引に対してだけ責任を問うことを決めたのも、同じく被害企業から反発を受けている。そのため、今回の処分でオーバーヘッジや損失移転取引で処分を受ける銀行はそれぞれ6行と1行に止まっている。

●被害企業、「銀行の過ちから目をそらした」と反発

金監院による処分が銀行に不利に働く可能性も排除できない。オーバーヘッジや損失移転取引により、金監院から処分を受けるキコ契約の場合、銀行は企業の損失をある程度は予想していながら、それを通知しなかったという被害企業の主張が説得力を得ることもありうるからだ。

特に、資金力の弱い中小企業に対し、銀行が優位な立場を利用し、オーバーヘッジを勧めたり、キコ契約の危険性を十分に通知しなかったりしたなら、問題になる余地は十分あるという指摘だ。

そのカギは、被害企業が裁判所でこれを直接証明できるかどうかにかかっている。今回の金監院の処分でも、銀行の不公正販売やキコ商品そのものの問題点は、審査対象から外されているだけに、被害企業は金監院の結果発表とは別に、裁判所で銀行の不公正行為を直接証明しなければならない。そうしない限り、裁判所から有利な判決を引き出すことは難しいだろうという見方だ。

金融当局の関係者は、「銀行の明確な過ちが明らかになれば被害企業が勝訴する可能性もある」と言い、「しかし、ほとんどの取引過程を一つ一つ記録し、保管している銀行とは違って、被害企業は物証を十分に持っておらず、銀行の過ちを証明するのは容易ではないだろう」と話した。

これを受け、被害企業は、金監院の処分は、「訴訟に影響を及ぼしかねない敏感な事項は全て避けた甘い処罰だ」と反発している。キコ被害企業共同対策委員会は20日、記者会見を開き、「金監院による処分は、主要調査項目を外したまま行われたずさんな行政であり、事実上、銀行の過ちを見過ごしたのと同然だ」と言い、「金監院長の告発を検討し、国政監査の実施を訴える計画だ」と主張した。



weappon@donga.com