ソウル中央地検特捜1部(李東烈部長)は12日、大宇(テウ)造船海洋の下請け会社であるイムチョン工業代表の李某容疑者(拘束)が横領した会社資金の使途を追跡する過程で、数十億ウォンが現金で使われた怪しい資金の流れをつかみ、この資金が政界や官界などに流れたかどうかについて、調べを進めている。
検察は、李容疑者は04年〜09年にかけて、イムチョン工業をはじめ関係会社であるG社やD社などから大宇海洋造船に対して船舶機材を納入し、下請け会社から部品の納入を受ける過程で価格を水増しして会計帳簿に記載するなどの手口で、600億ウォンあまりの会社資金を横領したと見ている。このうち、関係会社などへと流れた金のほか、数十億ウォンの現金の使途が明確ではない情況をつかんでいる。
検察は、李容疑者を相手に、現金で横領した金がどこに使われたのかについて、集中的に取り調べを行っており、この資金の使途について、一部供述を確保しているという。しかし、李容疑者の供述があるだけで、金を渡した相手への捜査を拡大するのは難しく、具体的な物証の確保に全力を上げている。
検察の関係者は、「今のところ、『渡した』という曖昧な供述だけを繰り返しており、口座の追跡や参考人供述などで具体的な証拠資料の確保に力を入れている」と話した。検察と政界周辺では、李容疑者はK氏やもう一人のK氏、J氏など与党ハンナラ党側の人物らに対し、事業の便宜を図ってほしいという頼みの見返りとして金を渡したといううわさが出回っている。
検察は、李容疑者に対し、拘束の締切日である15日まで取り調べを行った後、裏金の造成を通じた横領や背任の容疑に直接・間接的に関係した会社の関係者らも一緒に起訴するかどうかを検討している。また、現政府の有力者らと近いといわれている千信一(チョン・シンイル)セジュンナモ旅行会社会長の子供3人が、イムチョン工業など、李容疑者が経営する会社の株式を大量の保有することになった経緯についても確認を進めている。
検察は08年上半期に行われた千会長の子供らとイムチョン工業の株式取引の過程が正当だったか、株取引の資金源がどこなのかを明らかにする一方、同年、大宇造船海洋がイムチョン工業に前払い金570億ウォンを支給したいきさつについても取調べを行っている。
これを受け、今回の捜査が李容疑者の裏金造成や横領容疑で終わるのか、それとも政界へのロビー捜査へと拡大されるかは、李容疑者の起訴時期を前後にして、明らかになると見られる。
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