北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が三男のジョンウン氏への権力継承説を否定したと、米国のカーター元大統領が中国の温家宝首相の話として伝えた。
カーター氏は最近、カーター・センターのウェブサイトに掲載された訪中報告書を通じて、「6日、北京で私が温首相と会った時、温首相は私たち一行を驚かせた」としてこのように明らかにした。
カーター氏によると、温首相はカーター氏と会った際、「金総書記が先月中国を訪問した時、三男のジョンウン氏に権力を委譲するというのは『西側による誤ったうわさだ(a false rumor from the West)』と話した」と伝えた。カーター氏は、温首相のこのような発言に、「驚いた。北朝鮮の権力継承の真実を知るには、待たなければならないだろう」と付け加えた。
また、温首相が自身の最近の訪朝に大きな関心を示し、「私が北朝鮮で受けた肯定的なメッセージが、金総書記が中国に持ってきたものと同じであることを確認した」と話した。
カーター氏は先月25〜27日、北朝鮮に抑留されていた米国人のアイジャロン・マリ・ゴメス氏の釈放のために平壌(ピョンヤン)を訪問したが、金総書記には会えなかった。カーター氏は今月4〜10日、中国を訪れた。
カーター氏のこのような言及は、北朝鮮が「9月上旬」に開催すると明らかにした労働党代表者会を突然延期した背景ともかみ合い、関心を集めている。北朝鮮の専門家らは、今回の労働党代表者会の延期が、ジョンウン氏への権力継承をめぐる内部対立と関連があると見ている。
これに対する韓国政府内の見方は交錯している。ある当局者は、「党代表者会を通じて後継者として公式に登場しようとしたジョンウン氏が会議の延期によって実行できない中、カーター氏の発言が出てきたことは、注視する必要がある。北朝鮮内部で、張成澤(チャン・ソンテク)党行政部長とジョンウン氏との間で権力争いがあるほか、金総書記がジョンウン氏に権力を委譲しようとした当初の計画を変更した可能性も排除できない」と慎重に観測した。別の当局者は、「私たちの判断では、ジョンウン氏に権力が移る。党代表者会が延期したのは、水害のためだと見ている。北朝鮮当局が、祭りを開くには水害があまりにも大きいと判断したようだ」と指摘した。
いっぽう、カーター氏は16日、ニューヨークタイムズの寄稿文を通じて、「北朝鮮当局は、米国や韓国当局と平和協定や韓半島非核化に向けた交渉の再開を望んでいるという明確かつ強力な信号を送っている」と強調した。
yhchoi65@donga.com kyle@donga.com