11月の金融サミット(G20)首脳会議を控え、民主労働組合総連盟(民主労総)などの進歩陣営の各団体は、10月1日、ソウル鐘路(チョンノ)の普信閣(ポシンガク)前で、「国際共同行動の日」集会を開催するのを皮切りに、「反G20への行動」に本格的に乗り出す計画だ。警察は、「G20首脳会議の警護安全に関する特別法」が同日実施されることを受け、不法集会に対して強力に対応する方針だ。G20首脳会議を巡り、警察と市民団体との衝突が予想されるだけに、先にG20首脳会議が開かれた英ロンドンやカナダのトロントのように、激しい暴力デモが再現される可能性に、神経を尖らせている。
●特別法発効に向け行動本格化
「参与連帯」などの進歩派の81団体は今月15日、「人が優先だ!G20への対応に向けた民衆行動(民衆行動)」という名前の共同対応機構を立ち上げた。これらの団体は、「G20首脳会議の警護安全に向けた特別法」が実施される10月1日に、ソウル鐘路の普信閣前で集会を開き、本格的な反G20共同戦線に乗り出す計画だ。
「民衆行動」の実務を担当している李チャングン民主労総政策室長は、「政府は、G20首脳会議を口実に、露天商人や移住民への取り締りなど、民主主義や人権を弾圧している」と述べ、「G20警護安全特別法は、集会やデモの自由を弾圧する反民主主義的な法案だ」と主張した。
民衆行動は、G20首脳会議を前後にし、11月6日から12日までを共同行動週間と決め、新自由主義と金融世界化の問題点を宣伝する方針だ。特に、首脳会議の開催日である11日を、「国際民衆共同行動の日」と決め、大規模な集会を計画しており、警察との衝突が予想される。
●トロントでデモ動画の学習も…警察は非常事態
11月11日にデモ隊が具体的にどう動くかはまだ、把握されていない。民衆行動の関係者は、「参加する各団体の思惑が少しずつ異なる上、まだ時間的に余裕があり、具体的な行動指針までは確定されていない」と話した。
しかし、警察は、会場となるソウル江南区三成洞(カンナムグ・サムソンドン)のコエックス(COEX)周辺はもとより、米国などの主要国の首脳らが宿泊するホテル周辺で、散発的なデモが行われることに備えている。ソウル地方警察庁の関係者は、「少なくとも1万人から最高1万5000人までが集結すると見ている」と話した。
特に警察が懸念しているのは、反G20集会が暴力デモへと拡大されることと、彼らが会場への進入を試みることだ。警察庁の関係者は、「一部のデモ隊は、トロントG20首脳会議の当時の集会動画を見ながら、デモのやり方について研究しているという情報が入っている」と言い、「コエックスへの進入を試みる過程で、暴力デモが予想される」と明らかにした。
警察は、G20首脳会議期間中、延べ40万人を投入し、警護に当たる計画だ。会場のコエックス周辺や首脳らが利用する宿泊施設は、G20警護安全特別法に基づいて、集会制限区域と指定し、コエックスを中心に半径600メートル周辺には、検問所38ヵ所を設け、一般人の出入りを統制することを決めるなど、デモ隊による進入の試みを根本的に封じ込める方針だ。
●G20会議は反世界化デモ隊の標的
世界の主要首脳らを始め、グローバル企業の最高経営者(CEO)らも一堂に会するG20首脳会議は、米ピッツバーグやロンドン、トロントに至るまで、毎回、反世界化のデモ隊やテロ組織らの主な標的となってきた。
今年6月のトロント会議の時は、「ブラック・ブロック(Black Bloc=黒い服やマスクをつけ、暴力デモを行うデモ隊)」をはじめ、世界各地から2000人余りのデモ隊が駆けつけ、街頭を占拠し、警察車を壊すなどの暴力デモを行った。トロント警察は、デモ隊に催涙ガスを発射し、接近制限区域まで練り歩いたデモ隊を逮捕した。警察庁は、大規模な逮捕に備え、会議の4ヵ月前に、周辺の大型映画撮影所を購入し、「収監者処理センター(PPC)」を設けることにした。
昨年11月に同会議を開催したピッツバーグにも、環境団体「グリーンピース」などの一部の市民運動団体をはじめ、数千人のデモ隊が駆けつけた。デモ隊は、棒を振り回し、石を投げながら会場への進入を試み、警察は暴騰鎮圧用弾丸である「ビンバッグ(Bean Bag)」を発射したこともある。昨年4月のロンドン会議の際は、反世界化団体のメンバー4000人余りがデモを行い、40代の男性1人が死亡する事故が起きた。